伝統ある「ならず者国家を誅罰」の再生

伝統(20年)



トランプの世界観:イラン制裁再開で何を目指すのか | 鈴木一人 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
マッドなトランプさんの頭の中身について。もちろん一応は正気を自称する私たちには想像するしかなく、狂人について考えるだけムダだと言うことはできるものの、でもそれだけじゃ寂しいしね。何か適当なことを書いておいたら運よく正解、あるいはさんかく位もらえるかもしれない。


ということで以下、トランプさんの外交政策についての適当なお話。




にも関わらず、イラン核合意を離脱し、制裁を復活させ、12箇条の要求を突きつけるのは、ひとえに11月に行われる中間選挙に向けて、自らの公約を守ったことをアピールし、アメリカ国内に蔓延している「イラン嫌い」の感情に訴えかけ、オバマ前大統領が結んだ「最悪の取引」であるイラン核合意を事実上崩壊させたということを主張したいからであろう。

そうして自らの支持層にアピールすることで、既にトランプ大統領の目的は達成されており、その後に突きつけた12箇条の要求は実現してもしなくてもあまり重要な問題ではない、と考えているのかもしれない。制裁が効果を出すのは、まだしばらく先であり、その頃にはもう既に選挙や政治的問題の中心は別のところに移っているであろうから、今回の決断についての評価は特に問題にならない、という認識でいるのかもしれない。

トランプの世界観:イラン制裁再開で何を目指すのか | 鈴木一人 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

個人的には、トランプさんのやり方ってそれほど殊更にアメリカの外交政策の(最近の)伝統から外れたモノかというと、別にそうでもないかなぁと。それこそ子ブッシュ政権時代からイランと北朝鮮(そして今は亡きフセインイラク)は『ならず者国家』として名前が挙がっていたわけでしょう。


イラクは既に誅罰を下した。しかし残る二国はまだ残っている。ということはつまり……。


ここで面白いのは、子ブッシュさんの外交政策として名高い『ならず者国家』認定ではありますが、そもそもの起源としては政権成立以前の1998年の連邦議会超党派による『弾道ミサイル委員会(こちらも悪名高き通称『ラムズフェルド委員会』)』こそがこの三国を「今アメリカが最も警戒しなければいけない国」として名指ししたことにある点であります。
子ブッシュさんへの評価とあいまってしばしば恣意的で短絡的な認定だと批判されていましたけども、ソ連崩壊によって最早通常の軍事力では太刀打ちできる国家などないないアメリカにとって(『9・11』以前というのもあり)現状考えられる脅威=弾道ミサイルを「新たに」向けるかもしれないならず者国家たちという点では概ね公正な評価だった。まぁ国家防衛としては正論ではありますよね。
アメリカに弾道ミサイルを向けて脅威をもたらす国をこれ以上増やしてはならない。その可能性が高いのは、イラク、イラン、北朝鮮である。


翻って、今のトランプさんの対応を見ると、ほとんどそのままでなるほどなぁという気持ちにはなりますよね。オバマ時代こそが例外で、むしろようやく冷戦後に考えられていた外交政策に帰ってきたとすらいえるかもしれない。
実際、上記ラムズフェルド委員会は共和党だけでなく民主党も含めた超党派による結論で、であればこそクリントン政権時代に弾道ミサイルに対抗するためのNMDが進むことになった。何故なら核兵器・ミサイル拡散の阻止こそが、党派を問わないアメリカの安全保障に関わる重要な問題であるから。


冷戦が終わることで改めて考えられるようになった「如何にしてアメリカの安全を確保するか」についての、最も一般的な外交政策に戻ってきたのが狂人であるはずのトランプ政権だったというオチ。でもまぁ就任前から「トランプは外交政策は素人」と言われていて、そして大統領が素人だという事が意味するのは、ほとんどそのまま政権高官たちの価値観が反映される、ということとイコールでもあるからそんなモノかもしれない。


現代アメリカの安全確保のための方法について。テロを防ぐために国境を強化し、そして弾道ミサイルの脅威を削ぐためにならず者国家たちの誅罰を再開する。


単純に反オバマというだけでなく、個人的にはトランプさんのイラン・北朝鮮対応ってこういうアメリ外交政策の伝統という視点から考えることもできるかなぁと。
みなさんはいかがお考えでしょうか?