核兵器科高校の優等生

MADな北朝鮮はMADな現実を信じられるか? ――まったく同様に「MADなトランプさんはMADな戦略を信じられるか?」でもあるんですけど。


北朝鮮「重大な挑発」 米のテロ支援国家再指定に反発 | NHKニュース
【環球異見】〈米、北朝鮮をテロ支援国家に再指定〉「北への間違ったシグナルになる」環球時報(中国)(1/2ページ) - 産経ニュース
そういえば北朝鮮さんちがまたテロ支援国家指定されてしまったそうで。

これについて北朝鮮外務省は、22日夜初めての反応として報道官談話を発表し、「『テロ支援国』のレッテルを貼り付けたことは、尊厳高いわが国に対する重大な挑発だ」と反発しました。そのうえで、「われわれの核は、アメリカの敵視政策と核の脅威に対処する抑止力だ。アメリカの敵対行為が続くかぎりわれわれの抑止力は、ますます強化される」と主張し、核・ミサイル開発を一層加速させる姿勢を強調しました。さらに談話では、「わが軍隊と人民は、激しい憤りを禁じ得ず、アメリカといつ、いかなる方法でもけりをつけなければならないという意志を、さらに強固にしている」として、トランプ政権への対決姿勢を改めて鮮明にしています。

北朝鮮「重大な挑発」 米のテロ支援国家再指定に反発 | NHKニュース

うーん、激おこであります。
第二次大戦後に固まった、古き良き伝統的定義によれば『大国』とはつまり核保有国のことではあるので、もはや名実ともにほぼ核保有国となっている大国北朝鮮にこんなことをするなんて失礼千万なお話ではありますよね。面白いというか、この北朝鮮の核問題で興味深いのは、(もちろん諸説あるものの、少なくとも現状という意味では)大国同士の戦争を終わらせた核兵器保有が今回のケースにも当てはまるのかどうか、という点でしょう。

 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は「テロ支援国家再指定は賢明でない」と題する社説を21日に掲載した。同社説は、今回の米国による措置について「新たな圧力は核問題における抜本的な変化を促すことにはならない。むしろ北朝鮮側を刺激してより激しい抵抗を展開させることになりかねない」と効果を疑問視している。

 さらに、従来の国際社会による対北制裁について「すでに十分な強さになっている」と指摘する。その上で、北朝鮮側が2カ月余り軍事挑発を行っていない現状を強調し、今回の再指定が「北朝鮮への間違ったシグナルになる」と分析。新たな圧力により北朝鮮に核開発を断念させるという考えは荒唐無稽だと非難した。

【環球異見】〈米、北朝鮮をテロ支援国家に再指定〉「北への間違ったシグナルになる」環球時報(中国)(1/2ページ) - 産経ニュース

日本でもしばしば言われるお話ではありますが、アメリカだけでなく北朝鮮も足下を見られているのは、どれだけ彼らが「口で」何を言おうと、結局は核兵器なんて使えっこないと思われているからでしょう。だから今更何をしても無駄だ、という中国の指摘はそれなりに身も蓋もない正論でもあります。
核兵器が持つ抑止力というのは、使うからではなく所有している時点で意味を持つ。天才たるマクナマラ先生が万有引力を見つけるがごとく発見した『相互確証破壊』というのは、自分たちの決意(報復能力)がどうこうというだけでなく、同じくらい重要なのは「その決意を相手に解らせる」という点にこそあります。
今回のテロ支援国家指定でもそうですけれど、毎度毎度に北朝鮮が愉快ながらも『強い』言葉を使うのは、やっぱりそれなりに意味があるんですよね。それは絶対に核で反撃するというMADな覚悟を相手に解らせるためでもある。もちろん彼らの趣味というか美意識もあるだろうし、あまりに使い過ぎてちょっと陳腐化してる感はありますけど。


核兵器で攻撃されたらこちらも核兵器で絶対に反撃してやる、というMADな戦略。でもそれは核保有国の全てが一般的に持つ考え方でもあり、北朝鮮が言う強い言葉は、まさにそのマクナマラという教科書通りの振る舞いでもある。優等生とすらいえる。そんな狂人的振る舞いこそが「核による平和」を結果として導いているのだし。


かくして世界にまた優等生(=狂人)が増えてしまうのか?
――あるいは核兵器保有以外では軒並み劣等生な北朝鮮が、核抑止でも失敗し、人類の歴史にまた新たな一ページが加えられてしまうのか? でもそれはそれでおっそろしいお話だよね。そうなってしまうことは、つまり私たちが大量の核兵器と共存してきた現実が、所詮は幻想・神話あるいは別の何かでしかないということが証明されてしまうことでもあるのだから。


みなさんはいかがお考えでしょうか?