いつもの「ならば今すぐ叡智を授けてみせろ」案件

国内世論の反映としての外交政策の帰結。


トランプ大統領 パリ協定脱退の方針を発表 | NHKニュース
そういえば結局トランプさん離脱を決め大騒ぎだそうで。いやまぁ私たち日本からすれば、つい最近もTPPをひっくり返されたばかりなので「知ってた」案件ではありますよね。もっと言えば、こうした条約や協定のちゃぶ台返しは建国以来の*1アメリカの伝統でもあるので、やっぱりいつのも光景であります。

米石炭産業はパリ協定離脱を歓迎 他の業界は批判 - BBCニュース
それこそ「トランプがバカ」だからこうなったと断じることができれば話は簡単だったのにね。彼が居なくなれば話は終わるのだから。しかし悲しいかなそうではない。就任以前から公約として存在してきたように、彼の背後にはその離脱を支持する多数――必ずしも国全体で見て多数派とはいえないものの――の有権者が実際にいる。合衆国憲法の上位に位置するような条約規制に反対する人たちや、あるいは石油石炭など排出に直接かかわる産業に居る人たちが。
昔から言われるお話でもありますが「外交政策は、国内政治を外部に反映させたものである」なわけで。
だからトランプさんのこれも同様、外交であると同時に国内政治の反映でもあります。国内でも意見の割れているそれを、敢えて外交として意見表明することで、国内政治面でのリターンを得ようとする。韓国や中国から『反日』外交をテコにした国内政治のネタにされている私たち日本からするとやっぱりこちらも見慣れた光景ではあります。

そのうえで、トランプ大統領は、世界最大の温室効果ガスの排出国、中国に言及し、「パリ協定のもとでは中国は温室効果ガスの排出を増やすことが許されている。アメリカにとってとても不公平だ」と不満を示し、アメリカの労働者や企業に公平な内容になるなら、再び交渉を行う姿勢を示しました。

トランプ大統領 パリ協定脱退の方針を発表 | NHKニュース

「不公平」というのは実際その通りでしょう。先進国たちと後進国たちの間に義務の差があるように。でもそうでなければ合意なんて出来るはずがなかった。文明人たる先進国としての義務を解らないなんてアメリカ国民はホント田舎者だよね。
そんな今のアメリカが異常なのではなく、子ブッシュさん時代の京都議定書もそうだったようにむしろオバマさんの時代こそ例外であり、トランプさんになってそのバランスが元に戻ったという見方もできる。一時的でなく根本的にこの流れを変えるには、アメリカ世論そのものを変えるしかない。



でもどうやって?


今世紀アメリカがアフガニスタンイラクで証明したのは、外国から現地住民へ「正しい」とされる意見をただ押し付けても上手くいかないという教訓でもあった。そうしたアメリカの空回りっぷりをまぁヨーロッパをはじめとする国際社会の『善き』人たちは笑いまくっていた。アメリカのやり方は間違っていると批判し、愚かだと。
まさにトランプを選んだアメリカを愚かだと笑っていたように。
トランプ氏「もう笑われない」 パリ協定離脱 - BBCニュース
その帰結が、ご覧の有様ですよ。バカだバカだと囃し立ててたら本気でやられて大慌て。


「バーカバーカ! 撃てるもんなら撃ってみろー!」「ばーん!」「ホ、ホントに撃つ奴があるかー!」
高度なギャグかな?

*1:もっと言えば西部開拓時代から現地先住民部族たちと結んだ休戦協定を無視することを繰り返して拡大してきたので、国が生まれる前からも、とも言える。