共産党との距離の概算

メディアに共産党に連合にと、人間関係が大変そうだよね。端から見ている分にはクッソ面白いんですけど。


枝野氏が辞任会見で3分超の質問に回答拒否「後段はあなたの意見だと思う」 (1/2)
野党第一党」たる立憲民主党の現状を、ある意味でものすごよく良く象徴していたイベントで面白かったやつ。

記者(フリー):文書で示していただけますか?具体的にどういう問題があって、どういう弊害があったから、そういう申し伝えをするんだと。具体的に根拠もないままにいまのIWJの質問だけで。

枝野:先ほどのご発言は完全に、ご自身やご自身に託されたご意見の開陳の部分が圧倒的に長くて、同じことをお聞きになって、私の見解を聞きたいのであれば全く1分で済む話だったと思います。

記者(フリー):だったら事前に注意して「今後は控えるように」でそれで済む話。

枝野:毎回それに対するいら立ちはお示しをしてまいりましたが、代表を離れるのではっきりと申し上げただけです。

枝野氏が辞任会見で3分超の質問に回答拒否「後段はあなたの意見だと思う」 (1/2)

名を上げようとしたジャーナリストが記者会見で演説するのはヒトラーアベ向けだけじゃなかったんや!


これは枝野さんがぐう正論――というよりは、上記のように演説をされても尚、直後にこう言われてしまう彼らの状況にこそ同情申し上げたくなる構図だよなあと。
安倍政権時代にも批判されていた菅官房長官の記者の演説に対する『塩対応』なニュースがありましたけど、それと対をなす絵でしょう。
「毎回それに対するいら立ちはお示しをしてまいりました」なんて。
批判されているのであれば安倍政権のように無下にすればいいものの、なまじ応援されているものだからそれもできず無能な味方によって困らされてしまう構図を枝野さんは結局最後まで続けてしまった。
「代表を離れるまで言えなかった」とか正直すぎでは。
この辺のけじめがつけられない曖昧な距離感によるジレンマって、今の『非自民』な彼ら彼女らの現状をものすごくよく象徴しているんじゃないかと。


彼自身も今回の選挙の敗北理由の一つとして挙げていたように、立憲民主党共産党との選挙協力の距離感にかなり悩んでいたのは明らかで、
「立憲共産党」の批判に立民が反論 - 産経ニュース
個人的には「限定的閣外協力」なんて苦しい言い方をしていた点こそが今回の選挙の一つのハイライトであったように思います。
野党共闘は失敗か?|三春充希(はる) ?みらい選挙プロジェクト|note
共産党との協力が少なくとも票を集める上で効果があったのは、おそらく間違いない。
――でも実際にその「協力の中身」という意味では、時間が足りなかったのかあるいは政治的しがらみがあったせいなのか、結局その距離感について煮詰めることができなかったと評価するしかないわけで。この辺は自公政権のまぁ利益目的な協力関係を批判していたことへのブーメランを恐れたのか、整合性を取ろうとした帰結ではあったのでしょう。
その点で失敗か成功か以前の問題なんですよね。だってその政権構想について評価する中身が無かったんだから。
野党の政権構想「限定的閣外協力」ってどういうこと? 自公連立とどう違う?<衆院選 Q&A>:東京新聞 TOKYO Web
かくして政権交代を掲げながらも、その中身としては「限定的閣外協力」なんて曖昧なことしか言えなくなってしまった。
そんな選挙制度の隙を突くようなやり方では、自公政権と同類かゴールを曖昧にしている点でより不誠実な態度なのに。


ここで端から見ている分には面白いジレンマなのは、今回少なくとも選挙という意味では成果のあった共産党との協力関係を深めれば深めるほど、一方でその曖昧な態度がより不誠実さが際立っていくということでしょう。
そして逆に維新のように少なくとも立ち位置を明確している人たちとの相対評価としても。

 Q どんな背景があるのですか。
 A 立民は、最大の後ろ盾で共産との共闘に拒否感を示す連合の反発を和らげつつ、政権構想で事前の合意を求める共産との間で妥協点を探りました。その結果、両党は共産側からの入閣や法案の事前審査は行わないことを確認。立民の枝野幸男代表は「日米同盟や天皇制などの(見解の)違いは私の政権には持ち込まない」と説明しています。

野党の政権構想「限定的閣外協力」ってどういうこと? 自公連立とどう違う?<衆院選 Q&A>:東京新聞 TOKYO Web

まぁ結局この問題ってまさに自民と公明がそうしているように、立憲と共産が連立政権を前提とした協力関係を生み出せるのかという根幹のお話になっていくと思います。
まぁ閣外協力を言うことで有権者を幻惑させることが出来ると本気で信じているのならば今まで通りでもいいと思いますけど。
今回は次までまだ時間があるからいっぱい考えればいいんじゃないかな。
次の参議院選挙までにできなかったら……、うん、まぁ、そうねえ。


枝野さんもはっきりと自分の立ち位置を表明することができればよかったのにね。
しかし結局は、こうして彼はマスコミ対応でも「代表を離れるまで」言いたいことが言えなかった。
代表を辞めるようだし共産党の協力関係についてもそろそろ言いたいことが言えるようになればいいね。
あるいは次の代表がハッキリと言い切ることができるかもしれないね。



野党共闘に興味のない人たちは好きなお寿司のネタでも考えてればいいとして、しかし真面目に政権交代の可能性について考える人たちはいかがお考えでしょうか?