失われた戦勝国を求めて

ぁかん日本戦勝国になってまう!



平和記念資料館でG7首脳ら、それぞれの決意記す - BBCニュース
G7、中国の「経済的威圧」に対抗 新たな枠組み創設 - BBCニュース
G7広島サミットめぐり中国が日本の大使へ申し入れ 大使は反論 | NHK | G7サミット
ゼレンスキー大統領、原爆死没者慰霊碑に献花 広島の復興にウクライナの未来を期待 - BBCニュース
ということでサミットがあったそうで。
始まる前は色々ありましたけども、まぁ終わってみればG7首脳を揃って資料館に連れ込み献花までさせたし、対中牽制は出来たし、ゼレンスキー大統領はマジで来ちゃうしで、単に日本開催というだけでなく割とG7全史においても(特に最近まではその空洞化という反動もあって)稀有なレベルで意義のあるサミットで概ね褒めるところしかない結果じゃないでしょうか。これは外交の岸田ですわ。


といってもその最大の功労者というのは、ロシアによるウクライナ侵攻及び中国脅威論の復活というこれ以上ないほどのタイミングの良さであって、今回の広島サミットが西側陣営の事実上の決起集会みたいになっているのはちょっと面白いよね。やっぱりそうした事情を踏まえた上での会議設定を政権が上手くやったのは間違いない。
いやまぁ逆説的にミクロな我々も目にする決起集会って、そもそも「えいえいお~」な飲み会で中身ないやんけとサミットにも通ずる本質情報を言われるとぐうの音も出ないんですけど。
とにもかくにも今回のサミットは実質選択肢のなかった冷戦時代から続く、次こそは欧米側についてがんばるぞい! という戦後一貫して続けてきた歴代自民党政権の外交・安全保障政策の結実でしょう。



その意味で言うと、まぁ所謂『(ユニークな本邦独自の)リベラル』な人たちがこの構図に反発するのも理解できなくはないんですよね。だってそれは彼ら彼女らの精神的主柱である戦後日本の平和主義・戦後教育という立ち位置を根本的に変えることになりかねないから。そしてそれは逆説的に、また別のある種の人たちの悲願でもある。
少し前から流行っている、割と否定的な意味で用いられがちな「新たな戦前」という言葉は、つまりその更に先には「新たな戦後」がやってくるのと同義なんですよ。
新たな戦争――日本が始めたわけでは絶対にないことはせめて喜ぶべきことである――の時代によって、これまであった『戦後日本』という歴史は上書きされようとしている。戦後平和教育という言葉の意味が良くも悪くも変わる時代がやってくる。
新たな戦前、そして新たな戦中と戦後へ。
まぁもちろんそれが幸運な結果というだけでなく、徐々に枷を外しつつある私たちの日本がこれからやってくる戦前戦中という時期に更に不快な歴史となって未来の私たちが背負うものになるのかもしれませんけど。


悲しいかなフクヤマの言うように歴史は終わらず、再び我々は新たな闘争の時代へ足を踏み入れつつある。
今回のサミットではその日本の立ち位置がこれ以上ない程明確になった決起集会であったし、本邦一部に根強い「親ロシア()」や「中立()」といった、この期に及んで『リベラル』でも『平和主義』でもないクソみたいなポジションに立たなかった戦後日本の平和教育の敗北のような結果にならなくて良かったんじゃないか、と自称リベラルで平和主義な個人としては思っています。


繰り返しますけど*1我々日本人が積極的に望んだわけではないものの、ついにやってきてしまった新たな戦前という時代について。
今度こそ勝てる方につけるといいよね。前々回も前回も、そして今回も私たち日本一国ではどうがんばってもその趨勢を決めることはできず、せめて勝てそうな方について応援や決起集会を開いて足を引っ張らないようにするしかない。
みなさんはいかがお考えでしょうか?
 
 

*1:日本のグンクツの足音やウケイカなどと言う人たちは、この点を致命的に解っていないのか見て見ぬフリをしているよね。