現代資本主義体制の基本原理を克服できるか

つまり、上手く適応できる国とそれが出来ない国と、必然的に発生する世界の中にある経済的格差について。


【経済コラム】次期ECB総裁、引き受けるのは狂気の沙汰−Mリン - Bloomberg.co.jp

  その理由はこうだ。第一に、ユーロ危機には濃淡があるが、ユーロ圏17カ国にとって真の意味での解決策は格差是正である。ただ、収れんの兆しは見られない。ドイツ経済は活況を呈し、周辺国はリセッション(景気後退)に苦しむ。ドイツ政府によると、同国は今年2.3%の成長が見込まれる。ギリシャが2010年10−12月(第4四半期)に前期比1.4%、前年同期比6.6%のそれぞれマイナス成長に陥ったのとは対照的だ。
  ユーロ圏内でドイツと景気悪化に苦しむ他の国々との成長率格差は現在、9ポイントに接近しつつある。格差は拡大しつつあり、従って危機が一段と深刻化していることを意味する。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=atvI9uplC10w

そんな身も蓋もない。けどまぁ概ね同意できるお話ではありますよね。
つまり、欧州連合はより一つになろうと統合を目指した結果、本来あくまで副次的な問題でしかなかったはずの各国の経済成長格差が、次のメインの問題となって浮上してきてしまった。一番重要なやつ(イデオロギー)さえクリアできればそれでゴールできると思っていたのに、そのゴールの先にはそれまで二番目にあった差異が次のゴールにあっただけだった。なんというか悲しいお話ですよね。


で、更に救えないのが、その次にあった経済成長率格差の根底にあるものは、その集団の文化や社会に関わる労働倫理や社会倫理という違いだったと。今度はそれを解決しなくてはならない。
一体どうやって?

勤勉さ、優秀な製品を生みだすこと、身の丈に合った生活。経済の基礎を形成する信条として悪いものは一つもない。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aLQKPdtts8g8

以前の日記でも少し触れたけど、まさにドイツ人が持つそうした価値観こそが、ユーロ内での成長率格差の根底にある。
まさかドイツ人に向かって「もっと浪費をしろ、そんなに真面目に働くな」なんて言えばいい?
あるいは「他の国へドイツと同じ位になるまで補助金を出す」なんて、壮大な足の引っ張り合いでもすればいい?


結局の所こうした話の根底にあるのは、ギリシャのような汚職と過剰福祉天国の国と、ドイツのような堅実な国が持つそれぞれの『国民性』の違いでしかない、とやっぱり個人的には思うんですよね。現代においては『国民性』なんて一般化の仕方はあまり賛同を得られない方法である事は解っているんですけども、しかしそれ以外に説明しようがないと思うから。
一方は真面目に働き、一方は怠けてた。
勿論それが全てではないけども、ある程度までは事実であるから。そしてそれはEU内だけじゃない世界中に厳然と存在する、経済格差の現状でもあります。「環境の差」だけでは説明のつかない何か。


次期欧州中央銀行総裁はそうして生まれた格差の是正の為に、一体、何をすればいいのでしょうね?