経済成長は七難隠す

それって結局の所「隠れているだけ」なんですよね、なお話。


EUに忍び寄る旧ユーゴ型分裂の危機 | ビジネス | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

「ドイツでは自分たちがギリシャ人に搾取されていると感じる人が増えており、ギリシャでは自分たちがドイツ人に搾取されていると信じる人が増えている」と、メンシンガーは言う。「経済が停滞しいた1980年代のユーゴスラビアでも、自分たちが苦しむのは連邦内の他の5つの共和国に搾取されたせいだという考え方が広がっていた」

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まぁそういうことなんでしょうね、というしかないお話ではあります。この方は旧ユーゴスラビアを連想していますけど、個人的には旧ソ連の崩壊を思い出してしまうんですよね。あれもやっぱり経済政策に失敗した末の崩壊だったわけだから。


どちらにしてもこうした数々の事例は、現代に生きる私たちに「経済問題は政治問題にとってもクリティカルな傷を残す」という教訓を教えてくれるわけであります。それまで上手くいっていた筈のものが、経済的な危機に陥ると、様々な問題が一緒になって浮上してきてしまう。チュニジアから始まった一連の『アラブの春』だってやっぱりその発端は経済的な格差が発端となっていたわけで。端的に言ってしまえば、明日のパンが食べれなくなるからこそ人は革命に走るのだ、という古今東西を問わない普遍的な教訓の一つ。


つまるところ経済危機がもたらすものって、当たり前ですけど、別に政治的な危機「そのもの」ではないんですよね。
むしろそれまでにあった様々な亀裂や格差について火に油を注ぐことになる。例えば経済格差だったり人種問題だったり腐敗や汚職や政治的統合について、それまでは許せていたものが急に我慢ならなくなってしまう。「あばたもえくぼ」が「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」に逆転してしまう。
こうしてそれまで麻酔が効いていたものが切れてしまった時、やっぱりその痛みは前よりも大きくなる。それまでいけいけどんどんでやってきたツケを後になって払うことになってしまう。でもだからといって当然永遠に麻酔(経済成長)を打ち続けられるわけもないのが悲しい所であります。


いやぁ金の力っておそろしいなぁ。