「支援策まとまったって?」「残念! ギリシャちゃんでしたー」

そろそろユーロ日記書こうと思ってたらギリシャがまた斜め上へ行ってたぜ、日記。


ギリシャが支援策受け入れ問う国民投票へ、ユーロ圏危機再燃も| ビジネスニュース| Reuters
ギリシャ元財務相:国民投票はデフォルトとユーロ離脱につながる - Bloomberg
イタリア10年債とドイツ債の利回り格差最大、ギリシャの国民投票懸念 - Bloomberg
わー支援受け入れる側が『国民投票』ですって。そりゃあれほど苦労して救済案を練ってたドイツやフランスさんも大激怒しちゃいますよね。ザ・いい面の皮。そんな予想外なギリシャちゃんの発言に昨日は支援する側と市場で大慌てでした*1
で、こうなると。
ギリシャ:首相の掌握力が低下、造反で過半数ぎりぎり−辞任要求も - Bloomberg
ギリシャ与党内から国民投票に反対の声| ビジネスニュース| Reuters
まぁ結局のところ、粛々とやっても国民からの批判は免れないし、反対にやらなくてもやっぱり批判されるのならば、パパンドレウさんが一発大勝負に出ても不思議はないですよね。「追い詰められているギリシャ」という見方があるのと同じ位、「ギリシャのほうがドイツやフランスを追い詰めている」という要素もやっぱりそこにはあるわけで。金を貸している方は当然ながら、しかし実は金を借りている方も強いのです。


そんなパパンドレウさんの一発逆転大勝負なわけですけど、別にそこまで無根拠だったわけではないんですよね。実際、肝心のギリシャ国民の世論はそんな斜め上な『国民投票』の案にほぼ五分五分の評価を与えてたりしていたのでした。これまでのギリシャのスト・デモ祭り見ていればそこまで不思議な話じゃありませんよね。

 それによると、今回のEUの決定についてギリシャにとって「マイナス」ないし「おそらくマイナス」とみている人は58.9%に達した。ほぼ3人に2人が不安や怒りを感じていることになる。こうした世論調査はEUの合意後では初めてで、全国レベルで1009人を対象に電話で行われた。

 EUの合意によると、ギリシャ国債保有する民間債権者は、50%の元本削減を受け入れる。一方、ギリシャは同国と国内銀行のために必要な約1300億ユーロ(約13兆9000億円)の国際金融支援を受ける見返りに、さらに厳しいEUの経済監視に応じる。

 世論調査では、「EU合意を承認するための国民投票を行うべきだ」と考えている人は54.2%で、「議会が承認するかどうか決定すべきだ」との40%を上回った。「議会での承認となった場合、議員300人のうち180人の賛成を必要とする絶対過半数方式とすべきだ」との回答は4分の3に達した。

/ WSJ日本版 - jp.WSJ.com - Wsj.com

えーと、まぁ、なんというか、端から見ていても欧州の人びとの気持ちを繰り返すしかありません。「一体この人たちは何がしたいんだろうか?」
ともあれ、上記ギリシャ国民投票は避けられそうな流れではあるんだけれども、しかしそれを招いた元凶でもあるギリシャ現政権の政権運営基盤の弱体化はやっぱりそこにあるわけで。むしろその流れは今回の件で加速してしまった。そうなるとやっぱり選挙になってしまうのかなぁと。まぁ民主主義的には正しいとも言えなくはないんですけど。そしてまた時間が浪費されると。


今回のギリシャの問題が突きつけているのってやっぱり古くて新しい問題だと思うんですよね。つまり、幾ら高レベルで政治家たちがその必要性を認識し彼らの間での『合意』だけで欧州連合の協調を進めていったとしても、しかしそれが国民のレベルにまで広がっていかなければ、いざという時にこうして機能しなくなってしまう。そんな話俺たちは聞いていない、と。確かにその主張にはそれなりに正当性がある話でもあります。
だからこそ、これまで欧州連合は『シェンゲン協定』や『ユーロ通貨』といった様々な「一つのヨーロッパ」という象徴を創り出し、そして一体性を醸成しようとしてきました。かつてそれで失敗したこと*2があるからこそ、今度はもう少し慎重に、そして上手くやろうと。しかしその試みは道半ばで停止してしまい、現在の危機によって、完全な成熟前にその成果を試される事態に直面してしまったのです。勿論、ギリシャに対する他国からの支援策がどうにかまとまったように、それらはある程度までは機能するようになったとも言えます。ある程度までは。
しかしやっぱり完成には至らなかったそれは、案の定「準備不足」がこうして今祟ることになるのでした。解っていなかったならともかく、解っていたのに防げなかった人たち。いやぁ悲しいお話ですよね。