ヨーロッパの永久忠誠の原則

デカい台風が上陸すると聞いて密かにテンション上がってたものの、見事にコースが逸れて「あぁ……うん……いやでも台風とか来ても困るしね実際」な気分。


ギリシャ再選挙は緊縮支持派2党が勝利、連立政権樹立の公算| Reuters
時事ドットコム:緊縮支持2党で過半数か=ギリシャ再選挙出口調査
ということで緊縮派の勝利で連立政権を出すことができそうです。おめでとうおめでとう。反緊縮とは一体なんだったのか。しかし前回の時にも思いましたけど、この一位の政党に+50議席ってものすごく上手く出来てますよね。まぁそれでも『薄氷の勝利』なのは間違いないので、やっぱり今後もデモ祭りなのは変わらないんだろうなぁと。選挙前と何も変わっていない構図。
ともあれ「ユーロ離脱」という目に見えない・何が起こるかわからない恐怖感を煽るという手法は、ギリシャの選挙においてもきちんと通用することを証明した。


まぁこの辺りのお話は、かつての『国籍離脱の自由』のお話に近いところがあるのかなぁと思ったりします。それを認めてしまったら欧州連合という共通の夢が根底から覆されてしまうのではないか、という欧州連合推進者たちの恐怖。そりゃユーロにも初めから離脱事項なんてものが定められていないのも納得ですよね。だってその結婚は不可逆のものであるのだから。後になっての離婚なんてあるはずがない。国籍離脱の自由については現代においては基本的人権の一つと認められていますけど、しかし、超国家の共同体では、そんな離脱の自由など到底ありえないと。
おそらく、もしきちんと離脱の際の手続きにまで踏み込んで定めてあったら、逆の結果になっていたんじゃないかと。
その意味で『未知の恐怖』を煽ることに成功したという点では、今回のギリシャ選挙が証明して見せたのは、敢えてそうしたことを無視してみせたユーロ設計者たちの勝利なのかなぁと思います。整然とした離脱なんてものは――離脱自体が想定外である故に――想定しないのだ。まぁその不可逆性を演出するという点では、確かに一つの戦略ではありますよね。


ユーロ引いては欧州連合に加盟するということはつまり、永久の忠誠が前提となるのだ、なんて。