革命と革命返しと革命疲れ

そんなエジプトさんちのお話。選挙日記二連続。あ、でもフランスのはイマイチ何も思い浮かばないので次はないです多分。


エジプト軍最高評議会が立法権限掌握、大統領選はムスリム同胞団が勝利宣言 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
ということでエジプトさんちも結果が出たそうで。モルシさん勝利。まぁ順当な結果ではあるのでしょう。民主主義のパラドックスと言ってしまってはアレですけども。
ただ先日のアメリカさんちのお話でも書いたんですけど、やっぱり(西欧と日本を除いた)世界中の何処の国でも宗教勢力が伸張するのはほとんど主流のトレンドではあるわけで。特に中東諸国におかれましては『アラブの春』だけでなく、それ以前のトルコやらイラクやらでもそうですよね。


しかしまぁやっぱりそのままあっさりエジプトもイスラム主義へと傾倒するかというと、あんまりそうは思えませんよね。それは選挙直後になって軍部が『革命返し』やったことからもよく解ります。また、そもそも資源国以外では『イスラム主義』なんていう贅沢は許されない、という身も蓋もないことを岡崎先生はFouad AjamiさんのWSJでの記事を引用して仰っています。

 他方、イスラム主義者は、シャリア法による支配を考えているが、これはエジプトでは無理だろう。イランやサウジの神権政治は石油の富によって支えられている。しかし、エジプトにはそうした恩恵はなく、経済問題などが山積している。実際、軍は、経済的特権を維持し、安全保障、対米・対イスラエル外交を担当できれば、それでよく、経済に関する責任はむしろ文民政府に委ねたいと思っている。

大統領選を終えたエジプトの行方 WEDGE Infinity(ウェッジ)

神権政治は石油の富によって支えられている」こうした事例は――独裁政権のそれと合わせて――結構よく言われるお話ではあるんですよね。しかしエジプトにはそんなことをやっている余裕がまるでないと。多分その通りなのでしょう。あのトルコだって2009年の選挙でイスラム派政党が勝利し同じように心配されましたけど、結局は現実的路線で落ち着いているわけで。


その意味でエジプトの将来――アルジェリア化かトルコ化か――というお話になった時に、やっぱり穏健的な将来にいきつくのかなぁと。実際モルシさんもそこまで大差での勝利(53%位?)でもなかったようだし。革命騒ぎに疲れてしまった人たち。本来目指していた場所とはまるで違いますけど、しかしそれでもかつてのアルジェリアの様な内戦状態に陥るよりはよっぽどマシですよね。
彼らには『幸運にも』イランやアルジェリアのように資源が無いからこそ、むしろトルコのような穏健的な現実路線を行くのではないだろうか、という楽観論。皮肉なお話ではあります。


がんばれエジプト。