見事すぎる最悪のタイミング

「うまく行かなくなりうるものは何でも、うまく行かなくなる――しかも最悪のタイミングで」マーフィーの法則こわい。


日本領海内に中国監視船6隻、尖閣諸島周辺 写真8枚 国際ニュース:AFPBB News
まぁ上記についてはこれはこれである種の規定路線なので生暖かく見守っておけば良いと思うんですけども、
時事ドットコム:1万人反日デモが暴徒化=制御不能に、武装警察投入−大使館前、大通りを占拠・北京
こっちはほんとうにどう転ぶか解らなくなってきたなぁと。制御不能・暴徒化ですって。「愛国→反日→ガス抜き」のプロセスをあまりにも繰り返しすぎたせいで効果が逓減していくというか、依存症の人がどんどん強い効果を求めていってしまう感じです。
しかし今回の発端となった「国有化」って言われるとアレですけども、でも別に構図的には何も変わっていないわけで。私有地であろうと国有地であろうと領土問題の構図としては一緒じゃないですか。日本側ではそのこと自体(対中国配慮という問題を除けば)特に問題視されていない一方で、中国側でそんな国有化が殊更に問題視されているというのは何だか不思議な光景ですよね。私有地ということに特別な幻想でもあるんだろうか。名実共に「全ての土地は政府のモノである」な中国さんちだからこそ、国有化という言葉に過剰反応しているお話なんでしょうか。


これまで通じてきたはずの――対日としても対国内としても――ガス抜きが見事に同時に通じなくなってしまっている、せめてどちらか一方だけでも無事であれば危機を何事もなく乗り越えられたかもしれないのに。それが見事に同時に効かなくなってしまった人たち。まるでどっかの原発のようです。
ともあれ、私たち日本の側にとってはともかく、あちらの中国の側にとってはやっぱり最悪のタイミングだったんだろうなぁと。もしこれを狙ってやっていたならビックリです。この辺は宮家先生が身も蓋もなく指摘していて、

 要するに中国側の本音は、「日本側の意図が読み切れず、対応に困っている」ということだ。もちろん、日本の「国有化」自体はけしからんと思っているだろう。

 だが、それ以上に困ることは、尖閣「国有化」問題が10年に1度の中国共産党指導部交代期と重なることだろう。

 日本に対し「十分強硬」と見えなければ、中国国内で「対日弱腰」と批判される。逆に反日を煽り過ぎれば、「反日」デモが「反政府」デモとなり、収拾がつかなくなる。中国共産党の幹部にとっては、どちらに転んでも良いことは1つもない。

「理性的愛国表現」が聞いて呆れる 対応に苦慮する中国政府~中国株式会社の研究(180)(1/3) | JBpress(日本ビジネスプレス)

もしこの現状を最初に火をつけた石原都知事が読んでいたらすごいなぁと素直に感心してしまうしかありません。ものすごく結果オーライ感ですけども。まぁそうは言っても私たち日本の側も選挙が近づいてきているので事情としては似たり寄ったりではありますし、ついでにアメリカも大統領選挙なわけですけども。
……一体なんでこの最悪のタイミングでこんなことに。