冷戦時代のあの人はやさしい目をしていた

では2020年に生きる私たちの目は?



【外交文書 公開】政府 天安門事件当日 中国に融和方針決める | NHKニュース
天安門時代の文書が公開されたそうで。
――といってもこの辺は、日本の反中国な人たちだけでなく、対中強硬派な海外の識者からもしばしば批判的に指摘されていた有名な話ではありますよね。
あそこで日本が助けたからこそ、今の中国が生まれたのだ、なんて。

その結果、宣言には「中国の孤立化を避け、可能な限り早期に協力関係への復帰をもたらす条件を創り出すよう期待する」という日本の方針を反映した文言が盛り込まれました。

当時、外務省職員として政治宣言をめぐる協議に携わった宮本雄二 元中国大使は「中国を孤立させることは正しくないし、中国を不必要に刺激し、中国国民の感情をあおることもよくない。ほかの国から『日本だけが浮き上がってしまうぞ』と言われたが、みな確信を持っていた」と話しています。

中国の現代政治が専門の東京大学公共政策大学院の高原明生教授は、「今の中国の状況からすれば、『なぜそんなに助けたんだ』と思うかもしれないが、今の尺度で当時を判断するのは間違いだ。中国の改革開放政策を支援しなければ、もっと大変なことになるという見方を多くの日本人がしていた。長い発展プロセスの中で起きた非常に不幸な事件と捉えるべきだというのが日本の立場だった」と指摘しています。

【外交文書 公開】政府 天安門事件当日 中国に融和方針決める | NHKニュース

確かに結果としては失敗だったと評価するしかないものの、その判断に至る論理自体は理解できるかなあ。
アメリカはなぜ中国との情報戦争で出し抜かれてしまったのか? - GIGAZINE
オバマ時代の『見誤った』対中融和政策と比較してどちらがギルティか、と聞かれるとまぁまだ日本はマシだとは個人的には思ってますけど。
当時はまだ冷戦時代だったからね。しかたないね。
あの頃は我々は中国に夢を見ていたのだ。




ともあれ。過去の話はいいとして、ならば私たちはこうした教訓の上で、今どういう風に振る舞うべきなのか、という点こそが問題であるわけでしょう。
香港・民主派の新聞社主、詐欺容疑で逮捕 保釈認められず - BBCニュース
香港 民主派の活動家や政治家8人逮捕 7月1日の抗議活動で | 香港 抗議活動 | NHKニュース
1989年には「中国を孤立させることは正しくないし、中国を不必要に刺激し、中国国民の感情をあおることもよくない」というポジションだった日本は、2020年の今ではどういうポジションを採るべきなのだろうか?


ここでクッソ面白いのは、従来から反中強硬なタカ派よりも、所謂国際主義なリベラルのポジションを採る人たちの方がずっと深いジレンマに悩まされることになる、という点だと思うんですよね。
ドラゴンスレイヤーとして中国をやっつければ何もかも解決する!」と無邪気に気炎を上げていればいい前者と違って、しかし冷戦構造下と同じかそれ以上に複雑なグローバルな問題――気候変動やコロナや経済問題など――を抱える後者のリベラルな私たちは、ただ中国と対立するだけでは解決できないということも理解しているわけでしょう。
それこそ「中国とも協力すべきである」というのが現代国際関係の合言葉でもあったように。


……ということは、つまり、リベラルな私たちは2020年の今でも、1989年の天安門事件の時と同じポジションである「中国を孤立させることは正しくないし、中国を不必要に刺激し、中国国民の感情をあおることもよくない」というポジションを採るべきなのだろうか?
1989年の宇野総理大臣は、2020年の現代日本にも通じる素晴らしいことを言っていたんだ!
やっぱり自民党政治ってさいこ~~~!!!

香港ではここ数年、反政府・民主化の抗議デモが続いていた。中国政府は6月、国家からの離脱、転覆行為、テロリズム、香港に介入する外国勢力との結託などを違法とする国安法を制定。地域安定化のために国安法を導入したとしているが、反対勢力を黙らせるためだと批判する声もある。

2日に実刑判決を受けた黄氏、周氏、林氏はいずれも、昨年の抗議デモに関わった罪で有罪となった。

国際人権団体アムネスティー・インターナショナルは判決を批判し、「政府を公然と批判する者に、次はお前かもしれないと警告」したに等しいと述べた。

香港・民主派の新聞社主、詐欺容疑で逮捕 保釈認められず - BBCニュース

自由や民主といった普遍的価値観を希求するリベラルとはいったい……うごご!


(普段から国際主義やリベラルを訴えている)みなさんはいかがお考えでしょうか?