あるいはディストピア世界の一例として。
ということで出遅れましたけど、折角ここまで書いてきたし、今でもちまちま続けているので今回も雑感。
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えーと、今回の変更点で大きな所では以下でしょうか。
- タイガークロー弱体化
- この期に及んでやるくらいならば何でもっと早くやらなかったんだ、の典型パターン。1.5倍＠３→1.3倍＠３になったので、実際使うとだいぶ弱くなっているのがわかるけれども、しかしそれでもまだ他のスキルと比べると頭一個抜けている辺りどうしようもない。
- 回復アイテムがぶ飲み
- ドルボード
- ねんがんの移動手段。かなり早い。こちらも何気にタイガー以上に「狩り」の影響が大きくて、元々人気狩り場の条件には「宿からのアクセスの良さ」こそが重要でした。故にいつまで経っても皆宿近くの同じマップで芋を洗う羽目になる。魔法戦士のＭＰ回復手段と併せて、これで大分選択の幅は広がることでしょう。
- 依頼書
- 単調なレベル上げをこれで少しでも緩和してね！ システムの一環。でも何から何まで「○○のモンスターを倒せ」ばかりなのはどうかと思う。
そして本題。
『通報』システムについて
まとめよう、あつまろう - Togetter
『ぱにぽに』作者「ドラクエの「通報する」が「応援」や「ついていく」と同じぐらい身近なコマンドになってて怖い。」｜やらおん！
色々と物議をかもしているシステムですけども、でもまぁ現状を見る限り仕方ないのかなぁと。ぶっちゃけ業者が多すぎです。
おそらく原因は単純で、業者＝ゴールドファーマーたちの間に（稚拙な出来ながら）マクロ広まってきた、という点であるのかなぁと。これによって一人で4キャラ動かすことが可能になって金銭効率4倍に。ほとんどは完全なBOTというわけではなくて、おそらく当初は先頭の1人は中身入っていたはず。
それでもver1.2実装辺りまで完全自動はほとんど居なかった気がしますけども、しかし1.3以降それはもうヒドイことに。金策メッカであるマップ（沢山ゴールドが落ちる）へいくと、もう完全に業者に占拠されています。「ああああ」「いいいい」「うううう」「ええええ」といったキャラがものすごく怪しい格好（全員同じ格好）に、怪しい挙動（完全に先頭キャラの自動追尾）で、ひたすらモンスターを殴っている姿が。
そして最近では、その狩り場に「業者が増えすぎて」効率が悪くなったのか、他の狩り場にまで彼らが進出している始末です。
まさか10年以上経った今になって、あの日ラグナロクオンラインで見たBOTだらけの風景を思い出すとは思いませんでした。
ということで上記リンク先の意見のように「やり過ぎだ」という意見も解りますが、しかしこれ位やらないとその駆逐はともかくとして、正直一般プレイヤーの不満の方を抑えきれないでしょう。
別に運営が業者対策をまったくやっていないとは個人的には思っていません。おそらく、彼らは彼らなりに必死にやっているのでしょう。そしてそれは『通報』システムの実装以前からも同様だったわけで。そして彼らが何度も繰り返しているように、そのネックとなるのは実際の調査段階であるわけで。別に容疑者を見つけることが難しいわけではなく、問題はその確実な証拠発見の手間こそが足を引っ張っている。
ならば、何故彼らは今になってこのシステムを実装したのか？
――というと、おそらくこれは業者対策というよりは、プレイヤーの不満対策なのです。
（あともちろん運営側のポーズとしても）
こうした業者＝ゴールドファーマーの問題って単純にゲーム内経済への影響もあるのですが、しかしもう一つ大きな影響として、一般プレイヤーへのモラルへの影響があったりするわけで。この「業者だらけ」の光景を見たプレイヤーたちは、ものすごい勢いで心が荒んでいき、引いてはプレイへの熱意も失っていくのです。もしここでプレイヤーに可能となる、何らかの能動的な憂さ晴らし手段――横殴りだとかPKとかあったら、もう少しだけ影響は抑制的にできたでしょう。
しかし「優しい世界」であるドラクエにはそんなシステム存在しない。基本的に許可なく他ＰＣに関与することができない以上、大多数のプレイヤーは幾ら業者であろうと「黙って見ている」ことしかできないわけで。
かくして公式サイトの投稿広場でも、業者に対する対応を求める声が殺到する。ちなみにここでも上記一般プレイヤーのモラルへの影響は同様で、ふつうにゲームの話題をしたい人たちの投稿までも、行き場のない不満を抱えた人々の業者批判投稿によって押し流されていく。
かくして、運営は分かりやすい位置に『通報』というコマンドを置く以外になくなってしまっているのです。
肝は別にこの『通報』によって業者を減らす効果がある、という点ではないのです。というか別に怪しい業者を見たければ上記有名狩り場へいけばもう画面中に居るので、別に「つうほう」するまでもないんですよ。もしあそこの業者が減った後ならば効果はあるかもしれません。業者たちがアストルティア世界に拡散していった後ならばあるいは。
――しかし現状は決してそうではない。全40もあるサーバーすべての同じマップで業者は溢れているのです。この現状でわざわざ『通報』する意味なんてほとんど必要ありませんよね。
故に「つうほう」は業者対策などではなく、むしろプレイヤーたちに対する息抜き手段であるのです。そこで実効性があるかどうかは主目的ではない。むしろ、それをやることでプレイヤーの業者を目にした際の「何もできない」ことへの不満の緩和策であるのです。
この『通報する』コマンドについて、上手い皮肉だなぁと思ったのが以下。
たたかう
とくぎ
じゅもん
さくせん
つうほう←
このコメントは二重の意味で正しい。
『通報する』がこんなに分かりやすいところにあるという皮肉と、そして「プレイヤー自身に出来ることといえばこれ位しかない」という皮肉。まさにドラゴンクエストオンラインの中で私たちは、つうほうするか、それを無視してモンスターと戦うか、の二択しかない。
別に荒んだ世界故にこのシステムは生まれたわけではないのです。
むしろ「優しい世界」だからこそ、プレイヤーはその不正行為にさえまったく関与できず、結果としてものすごく身近に『通報する』コマンドを置かざるをえなくなってしまったドラクエの世界。
某アニメでも言っていたように、システムは実際にきちんと動いていることが重要なのではなく、利用者に「そう認識させる」ことこそが安定した維持運営に真に重要であるわけだから。
この『通報』システムが期待されているのは、結局そういうことなのでしょう。ただ単純に業者を駆除するよりも、効果があろうがなかろうが、私たち自身に出来る『通報』というステップを自発的に選択させることで利用者の無力感を緩和させ、その上で運営取り組みの成果を見せれば、多くの人びとがきちんと運用されていると「より」安心することができる。
いやぁまるでどこかのディストピア世界でありますよね。
