オバマさんの「戦争はしない」という覚悟

だからオバマドクトリンに照らせば今回もセーフ。今回の敵はテロリストなのでまだ戦争じゃないから。


オバマ大統領、夏休みにゴルフ イラク空爆声明から数時間後 | ハフポスト
まぁ別にゴルフすること自体にどうこう言うつもりまったくありませんが、しかし、実際オバマさんの内心に関する推測においては、ほとんど心配してもいないだろうなぁと。
――だって例によって*1今回もまだ「戦争じゃないからセーフ」なのだから。
シリアやリビアやイエメンなどにはなくて、ウクライナや南シナにはあったもの。『戦争』への危機となるか否か。



社説:オバマ大統領のイラク介入は正しい:JBpress(日本ビジネスプレス)
まぁあれだけ前大統領ブッシュさんの『イラク戦争』を間違っていると非難し、そしてカウンターとして見事に『イラク撤退』を実現させた現大統領であるオバマさんが、こうして見事に泥縄的にイラクに舞い戻らざるを得なくなっているのは、端から見ていてとっても愉快なお話ではあります。こんな今更する位ならさっさとISISへの封じ込めをやっておけばよかったのにね。でもそんなこと軽々とできるわけなかった。
文字通り、イラクに再び介入すること自体が、オバマさんのイラク撤退が失敗だったことの証明となってしまうのだから。あれだけ威勢よく「米軍堂々とイラクから撤退す!」とやったのにご覧の有様ですよ。あの米軍撤退とは、「イラク国軍は独り立ち可能だ」としたのはいったい何だったのか。
ブッシュさんはあるはずのない大量破壊兵器を見、そしてオバマさんはあるはずのないイラク安定を見た。
――かくして「イラクよ、アメリカはまた帰ってきた!」(三年ぶり二度目)
そりゃこうしてギリギリまで決断できなかったのも仕方ないよね。

 イラク北部のクルド自治区はISISに制圧される恐れがある。人道的な大災害と戦略的な大惨事が同時に起きる現実的な危険がある。つまり、地中海に道がつながる中東地域の中心に新たなジハーディスタン(聖戦地域)が生まれる恐れだ。

 ISISは勢力を拡大しており、食い止めなければならない。ISISの前進を止める手段を持つのは、米国だけだ。

社説:オバマ大統領のイラク介入は正しい:JBpress(日本ビジネスプレス)

でもまぁ、それでもFTさんちのこの評論は概ね同意するしかないかなぁと。いやまぁシリアなんてこの100倍くらいのオーダーで死んでるんですけどね。でもそこに介入してしまうと身も蓋もなく『戦争』になってしまうので別のお話。ところがこのイラクではそんな心配をせずとも、限定的攻撃を行うことが出来る。
オバマさんは、そんな自身の定めたレッドラインを超えることは決してないでしょう。まぁその意味では率先して有言実行していると言うことはできるかもしれません。
外交努力やテロ対策を重視―米大統領が外交演説 - WSJ
以前の演説でも仰っていたように、彼にとって心配なのは「狭義の」戦争だけだから。何があってもそれだけは絶対に避けなければならない。一方で、それ以外に関しては「戦争にならない程度で動く」というのがオバマさんの基本的な外交戦略なのだろうなぁと。まぁそのやり方というのがほぼ「無人機で爆撃する」という辺りが、笑えばいいのか感心すればいいのか怒ればいいのかよくわかりませんけど。


空爆しても無人機攻撃しても相手はテロリストだからセーフ、つまり戦争じゃないからセーフ。一貫してると言えばこれ以上ないほど一貫したオバマさん。
いやぁオバマドクトリンってすばらしいよね。