恨みの代価

故に分裂してしまう人たち。


産経新聞前ソウル支局長を在宅起訴 NHKニュース
産経新聞に牙を剥いた「言論の自由」軽視の韓国 国内メディアの鈍さも浮き彫りに | ビジネスジャーナル
ということで単純に日韓というだけでなく、善意の第三者な海外の皆さんも無視できなくなりつつある産経新聞ソウル支局長への「訴訟」なお話であります。『言論の自由』の問題であるというのはまさにその通りで、これまでの日記でも何度か書いてきたように、現代市民社会の道徳的規準である個人の持つ自由権というのは究極的には「政府(権力)からの自由」という意味なわけで。権力者からの恣意的な束縛を受けないことこそが近代社会にとって、まず『自由』の第一歩であるのでした。
その点からすると――一応は市民団体からの告発という迂回策を取ってるとはいえ――検察権限の大きい韓国政府の意向があったのはおそらく間違いなく、まぁ見事に「権力者による恣意的な自由の侵害」そのものなお話ですよね。


ただ、それでも、やっぱり別の誰かに言われるのは許されても、しかし日本人だけには言われたくなかったのだろうなぁと苦笑いしてしまうお話ではあります。その意味ではありふれたいつもの反日な構図の一つではあるのでしょう。
それこそ定型のコメントでもある「論評に値しない」とか言っておけば良かったのにね。しかし、彼らの復讐に伴う感情はそれを許せなかった。あるいはその「多少の」暴走を社会は許容してしまってきていた。

 その一方で、刑事の手続という点では、「さすが韓国」と言いたくなる点もあった。
 加藤支局長は、産経新聞社がつけた弁護士と通訳を伴ってソウル中央地検に出頭し、事情聴取を受けた。この弁護士と通訳は、終始取り調べの場に立ち会うことができた。取り調べ自体は、検察側が用意した通訳を介して行われたが、その訳が正確であるかどうかを産経の通訳がチェックすることができた。加藤支局長に対して特別待遇をしたわけではないだろう。韓国では、日本よりはるかに早く、取り調べの録音・録画(可視化)が始まり、弁護人が同席することも認められる。
 日本では、やっと法制審議会特別部会で、裁判員裁判対象事件と検察特捜部による独自捜査事件に限って、可視化を行う提言がまとまったばかりだ。刑事事件の取り調べに関しては、韓国が先んじていると言わなければならない。私が事実を確認した産経新聞の広報担当者も「(韓国では)こんなことができるんですね〜」と驚いていた。

産経新聞に牙を剥いた「言論の自由」軽視の韓国 国内メディアの鈍さも浮き彫りに | ビジネスジャーナル

一部でよく言われるように(そこまで差はないとはいえ)概ね韓国司法は日本のそれよりも進歩的であるとは言われているわけで。ただ今回の件で愉快というか生暖かい持ちになってしまうのは、それでも、例の親日罪なんかのようにこうして『日本』という属性が混じってしまうと途端に彼らは愉快な境地に至ってしまう点ですよね。
いやぁ怒りは人の目を曇らせるとはよく言いますが、その典型的なお話ですよね。


もちろん彼らには復讐を誓うだけの被害が「かつて」日本によってもたらされたのは間違いなく、当事者たちがそうした感情を持つことを止めることはできないでしょう。偶に日本でも善良な人たちが「復讐ヨクナイ」ととても美しいことを仰っていたりしますけども、しかし私たちがミクロな日常生活でも感じているように『復讐心』というのは現実に存在するし、そしてそれは多かれ少なかれ私たちにとって無視できるものではないのです。
それは上手く使えば克己心というものにも利用できるメリットもあるのは間違いない。ただ一方で、やっぱり長期的に見ればそれはデメリットの方が概ね大きいと言える。まぁそれでもそんな恨みを持つこと自体を否定することはできない。被害を受けた当事者世代は当然としても、それをいつまで経っても――というか世代交代しても尚も再生産し維持し続けているのは韓国に限らず世界中の隣人関係でよく見られる死ぬほど不毛なお話であるとは個人的には思いますけども、まさか私たち日本人の側がから直接に言うわけにもいかないアレなお話ですよね。なので基本的にはお口チャックしておくのが賢明なのかもしれない。


ということで、まぁそんな彼らの復讐心から来る反日感情というのは(基本的には加害側と言っていい)日本にとっては付き合い続けるしかないのだろうなぁと思うお話ではあります。
――少なくとも、その『復讐』が感情の表出という所で完結している内は。
ところが今回は、まぁ見事にその越えてはいけない一線を越えたようにしか見えない故にこうして大きな話題となってしまったのでした。その恨みの存在自体は肯定しても、しかし、やっぱり一線を越えることを容認することとは別の問題であるときちんと区別しなければならないよなぁと。まぁそれを日本が直接に言ってしまうとまたメンドクサイことになってしまいそうなのが、死ぬほどメンドクサイお話でもあるんですけど。やっぱり別の誰かが言ってくれるのが一番じゃないかな。


がんばれ韓国。