オバマブームが夢のあと

「言うは易く行うは難し」な普遍的風景。



【米中間選挙】上下両院の「ねじれ」解消か 最大の争点は「オバマ大統領」 米政治の方向性左右(1/2ページ) - 産経ニュース
ということで明日には米国中間選挙だそうで。まぁ基本的には毎度のことながら政権不満投票にしかならない――そもそも熱心な有権者しか投票に行かない――ので、あんまり真面目に見ていても仕方ないというのは概ねその通りかなぁと。そしてやっぱり今回も例外ではない。
オバマはどうなってしまったのか? 彼の公約を覚えているか? | ハフポスト
特に今回その寂寥感が強いのは事実上オバマ政権下での最後の選挙であり、既に過去大流行した「Yes we can!」な熱狂は跡形もない点ですよね。初の黒人大統領としてアメリカ人好みの『成功物語』の象徴となることであれほど盛り上がったはずのオバマブームの、夢の終わり。
物語としては就任直後で終わっていれば素晴らしいハッピーエンドだったのにね。しかし現実はそうはならず、こうして初期の輝きの失せた後にもダラダラと物語は続いていった。現実ってツライ。

高すぎた期待。オバマの登場はケネディに通じるさわやかで若々しい楽天主義に満ちていた。アイビーリーグからの信任を勝ち得て、あたかもアメリカが自らの 「原罪」を克服したことを自明の理として知らしめた感があった。彼の人生が多民族性と国際性の勝利を物語っていたのだ。その男により戦争が終結に至り、イスラムとの友好関係がもたらされ、抑圧された人々が救われて、アメリカと世界の経済が活気を取り戻すはずだった。(もちろん彼は全力を尽くしたのだが) こうした期待に応えるのは不可能だった。彼にはできなかった。誰にだってできない相談だ。

オバマはどうなってしまったのか? 彼の公約を覚えているか? | ハフポスト

期待が高すぎた、というのはその通りなのでしょうね。それでもオバマなら、オバマならなんとかして――くれなかった。
確かにオバマさんの自業自得な面はあって、彼自身で期待を煽りまくったという点は否定できないでしょう。まぁそうしなければ現代の米国大統領選挙は勝てないという身も蓋もない根本的な的な事実もあるんですけど。地味な大統領なんてもう誰も望んでいない。
オバマさんもそのギャップから生まれたツケを支払っただけ。
選挙戦では安易に公約を掲げて「正しいことをする」と誓うことは簡単なんですよ。ところが実際に国政を預かる立場になるとそうはいかなくなる。困難で意地の悪い100%の正解なんてない選択を深く考える時間もないままに次々と迫られる。仮にあったとしても、民主主義政治という国内政治は無制限にやりたいことをやらせてくれるわけでは絶対にない。経済問題を筆頭に、ISISにエボラにウクライナに、結局その選択肢の中から「かろうじてマシ」を選んでいくしかない。
でもまぁそれってオバマさんが選挙期間中に、あるいは就任当初に述べていたような解りやすい革命家的なイメージとは程遠かった。せいぜい見られたのはオバマケア関連位で、ところがその成功も非妥協的な態度として非難され、一方で他で見られたような現実的な対応がまた非難を呼ぶ。


かくしてオバマさんのイメージといえば、敗北やつまずきや障害にあうと後退する優柔不断で意志薄弱な政治的指導者、という致命的な印象を得てしまった。


ただこの辺のお話は単純にオバマさんのような政治家云々というだけでなく、最も根本的な政治家を選ぶ有権者たちの問題でもあるわけで。移り気な有権者たちこそが、移り気な政治家を生む悪循環。この辺のお話については次回。