ネットの波にのって届けこの呪い

人肉検索こわい。



川崎中1殺害 18歳の少年、殺害容疑認める供述「暴行チクられた」 | ハフポスト
ということでなんだか大盛り上がりとなっている川崎での(半分)首斬り事件であります。少しずつ明らかになっている事件の経過を見ると、クズ&クズでさもありなんという感じではありますけど。色々と悪名高い川崎の名をまた知らしめてしまったな感。ちなみに地元民による基礎知識として一口に川崎と言っても市においてよりヤバいのは加算方式で、(行政区分における)北部より南部で、横浜側よりも多摩川沿い側で、小田急東横より南武線沿いです。その上で今回の事件を見ると……お察しくださいな気持ちに。


ともあれ、某『イスラム国』の動画を真似したのではないかとまことしやかに囁かれていて、やはり彼らの手法に影響されてしまう若者は――まさに欧米社会で多発しているように――日本も例外ではないのだなぁと変な意味で感心してしまうお話でもあります。
一般に子供たちの社会というのはおそらく今回もそうであったように、閉じられた社会でもあるわけで。俺とお前らダチのセカイ系社会。だからこそ、そこでは簡単に人間関係が煮詰まってしまうし、その価値・行動基準は容易に一般社会から逸脱する。まぁこちらも既に指摘されているように、やはりネット――スマホの普及はそうした子供ならではの特異な閉鎖系社会の構築に一役買ってしまっているのでしょうね。



「容疑者」家族の顔写真投稿、自宅の動画を撮影... 川崎市の中学生殺人、ネットで「私刑」が横行 : J-CASTニュース
で、そうした事件を受けて、ネットでは恒例の展開となっているそうで。13歳で、イジメられ、全裸で殺害され、そして加害者といえば絵に描いたような(二重の意味で)悪そうな子。実際にどうなのかは別として、報道から受ける「心象」としてまぁ確かに私たちの正義感やメタ規範をビシバシ刺激するお話ではありますからねぇ。スマイリーキクチさんみたいになりそうだなぁと思っていたら既に上記リンク先で言及されてました。
「インターネットは自由だ!」と確信している人びと - maukitiの日記
スマイリーキクチさんの一件から得られる教訓について - maukitiの日記
まぁこの辺のお話については、散々書いてきたのでそちらを参照していただければ。私たちはまさに正義感故にこうした加害者(と思われる人たち)への私刑に流されてしまう。まぁそれは確かにロクでもない感情ではありますけど、しかしこうした集団心理が同時にまた社会における基本的な『規範』を確固たる存在にしてもいるんですよね。
魔女狩りなんかと紙一重だからこそ、この厄介な正義感の扱いは難しい。それこそ反原発界隈でアレな振る舞いを見せていたああした人たちだって、『正義感』があったわけで。

一方、ネットでは容疑者3人の身元を特定したとし、実名や顔写真、住所を晒しあげる行為が熱心に行われている。警察はこうした情報を一切公表していないが、逮捕前から「こいつらしい」とまことしやかに拡散され続けていた。

逮捕された3人のうち、全員ではないものの一部の年齢が一致したことでさらに盛り上がり、

「世間が忘れても、地獄の果てまで追い詰めてやる」
「犯罪の抑止の観点から遠慮なく貼らせて頂きますね 」
「犯人はこいつらだ。絶対に許すなよ」

などと投稿する人は後を絶たない。さらに、容疑者の家族とされる人物の顔写真を投稿したり、自宅とみられる場所まで行って動画を撮影、配信したりする人まで現れた。

彼らの多くは容疑者を「少年法に守られている」と非難し、

「本名を報道して死刑にしろや」
少年法の『更生』の機会なんてこいつらに必要なんでしょうか?」
「世間に顔向けできないように、再起不能に!」

などと過激な投稿を繰り返す。逮捕された3人以外にも関係者がいるとして、ほかの複数人の実名や顔写真を投稿している。

「容疑者」家族の顔写真投稿、自宅の動画を撮影... 川崎市の中学生殺人、ネットで「私刑」が横行 : J-CASTニュース

中国なんかでは『人肉検索』というとっても解りやすいネーミングがなされている手法。中の人の個人情報を暴くことで攻撃する。皮肉なのは、個人情報が保護されるべきだという社会であるからこそ、逆にこうした「暴露」はより正義の鉄槌だとして勢いをもってしまうという面もあるのでしょうね。むしろ禁止されているからこそ、攻撃の為にそれをするのだ、なんて。
そして暴かれた人たちへ、日本中から呪いに近い罵りの言葉が届くようになる。ネットって怖いなぁ。