政治的利益争いでよくみる典型的な不安商法

薬が人を殺すのではない、人が人を殺すのだ的なお話。


ドラッグと暴力の間には実は関係がない - GIGAZINE
うーん、まぁ、そうね。もちろん面白い記事も多い一方でgigazineさんちで稀によくある、結局何を言いたいのかよく解らないダメ記事っぽくてなんだかもんにょりするお話。でもまぁそういう「隙」があるからこそこうして日記のネタにもしやすいのでwinwinではあります。

暴力はドラッグではなく経済的な困難や知識の不足、人の攻撃的な気質、人格障害からもたらされるというのが、最近の研究では指摘されており、「ドラッグと暴力の関係」はせいぜい「不確かである」という程度しか明言できないものです。しかし、近年の研究の進歩にもかかわらず、今でもアメリカの法律や裁判では「ドラッグと暴力は強く結びついている」という前提で動いており、ゆえにドラッグ犯罪者は他の犯罪よりも厳しく罰せられるのが現状となっています。

ドラッグと暴力の間には実は関係がない - GIGAZINE

この「前提」が存在し続ける理由は簡単で、つまり、身も蓋もなく自らの財源を得る為にこそ。


日本でもそうですが、アメリカでもドラッグ犯罪は当然憎まれていて、むしろ本邦より身近である分善良な市民を自称する人たちにとってはよりカジュアル「堕落の証」――転じてナウでヤングな若者たちにとってはそれがクールでウェイウェイでもある――であり、こちら側とあちら側の境目=汽水域と見られているわけですよ。
だからこそアメリカ当局の人たちはそうした不安及び正義感に訴える為に、過剰に装飾された形で「ドラッグとの戦い」を訴えてきたのです。強力な武器に巨額な不正資金、ギャングからカルテルまでその敵が強力であればあるほど、本文にもあるように捜査権限の拡大や、そしてなにより大きな財源も認められやすくなるから。


なのでこうした構図って人間社会、特に民主主義社会ではよくある風景ではあるんですよね。むしろそれは政治的駆け引きにおける勝利の方程式ですらある。まさに彼らはまったく同じように『テロ』の脅威を訴えることで当局の権限と財源を巨大化しているし。
――人びとの不安につけ込む、冴えたやりかた。
まぁ本邦でも見慣れた光景ですよね。アメリカが中国がロシアが北朝鮮や韓国が、と外敵の危険を煽ることで権限や財源の強化を目論む人たち。一方でその反対側にも同様に不安商法に走る人たちは居て、自らのイデオロギーを相対強化する為に「ホウシャノーで末代まで苦しむ!」「対スパイ法案で民主主義が死ぬ!」「戦争になり徴兵される!」と叫ぶ人たちは少なくないので、やっぱり左右問わず用いられる一般的なデマゴーグの手法ではあります。むしろ私たちは民主主義社会であるからこそより一層その構図から逃れられない。


「ドラッグ戦争は危険が危ない!(だから我々にはより大きな予算と捜査権が要る)」と叫ぶことで彼らはそこそこ大きな権限を手にしてきた。悪名高いDEAの地位もそうして守られているわけですよ。
実際には上記でも説明されているように、むしろドラッグ絡みで死傷者が出るのって多くの場合で使用者というより売り手同士の抗争だったりするわけですけども、しかしそれはそれで本邦の事例と違って現実に起きている『事件』でもあるので彼らの論理はそれなりに――誇張されているとはいえ正当性があることになる。
まったくのウソではない分、そこには確かに説得力が存在する。


かくして彼らは不安を煽り、自らの得たいモノを手に入れる。
不安をあおられると心配になってしまう私たちだから仕方ないよね。


みなさんはいかがお考えでしょうか?