涙の数だけ(選挙に)強くなれ、ればよかったのにね

悲しみは時間が癒してしまう問題。


オバマ米大統領、涙ながらに銃規制強化訴え - BBCニュース
そういえば相次ぐ銃撃事件にオバマさんも涙ながらに銃規制を訴えたそうで。もういっそ初めから銃なんてなければ良かったのにね。でも悲しいことに現実はそうではない。
かくして彼は強硬策=大統領令に出た。まぁ事実上できることはそれしかない、というのには概ね同意するかなぁと。しかし議会を無視するなんて、日本でやったらヒトラー扱いですね。今、まさに最早次の選挙なんかないオバマ大統領はもちろん感情のままに突っ込んだことを言える。その意味では、今やることは好機かもしれませんね。選挙の事を無視できるから。やっぱりそれって本邦の愉快な人たちの理論で言えば「民主主義の敵」とか言われちゃいそうですけど。


ともあれ、そもそも論を言えば、本当に正統性を備えつつ大統領令でやるつもりだったのならば、大統領選挙で「銃規制」を争点にすればよかったんですよ。
――それこそ2012年の再選を掛けた大統領選挙の直前の7月にも、コロラド州オーロラの映画で12人殺された事件があったわけで。でも、当時オバマさん陣営は特に突っ込んだ対策を言うことはなかった。選挙前には不利、という極々自然な判断によって。
米国選挙において、身も蓋もない事実が証明するのは、ぶっちゃけてそれを争うのは特にリベラル陣営にとって不利になるという構図でもあるんですよ。銃規制を選挙前に言うことは、つまるところ当然銃規制賛成派は元々投票に行く一方で、本来は投票に行かないはずだった保守系な層を銃規制反対候補への投票に走らせることになるから。
かくして米国政治において、賢い人であれば(少なくとも選挙前には)沈黙する、というのが最適解となっている。今回涙を見せたオバマさんもそうしたように。
ヒラリーさんなんかを筆頭に、次選挙を戦わなければならない人たちは、きっと前回のオバマさん同様に、これから選挙前になればなるほど腰の引けたことしか言えなくなるのだろうなぁと。わざわざ寝た子を起こす必要ないものね。


文字通り涙の数だけ(選挙に)強くなってくれればよかったのにね。
ところが人間の素晴らしき、あるいは空しきサガというのは、基本的に「悲しみは時間が癒してしまう」のでした。


がんばれアメリカ。