公開処刑の風景から見える「分断統治→内戦」という地獄

SMAP独立騒動から見る最悪な敗北風景――あるいはライバル派閥を潰すのに最も冴えたやりかた。


「なぜこんな公開処刑を」SMAP謝罪放送に切り込む山本一郎氏に賞賛の声が集まるも、ご本人からまさかの謝罪が【とくダネ】 - Togetter
昨日に続いて件のネタ。むしろ日記ネタとしてはこっちが本命。


ということでザ・公開処刑な風景でしたが、逆説的にこの独立騒動を今回のようなオチに収めた人はやっぱりある種の合理性・有能さを発揮した結果だとは思うんですよね。元々SMAPが厄介なライバル陣営にあって、彼らの勢力を決定的に弱体化させることに成功している。それが傍目から見てどのような印象を持たれようが、少なくとも社内政治には決定的に勝利した。まぁ派閥争いなんて別に芸能界に限らず端から見ればひたすら不毛なようにしか見えないモノではありますけど。

「今回の謝罪は誰にどう向けられてるのか、着地はそもそもどこをめざしているのか、よく分からない。解散騒動でスポーツ紙に先打ちされた時それを否定すれば済む話。なぜこんな公開処刑気味な謝罪会見までやってしまったのかピンと来ない所がある

http://togetter.com/li/927600

特に感心してしまったのが、構図としては「メンバーと事務所」ではなく「メンバー間」というオチを書こうとしている所だよねぇと。公開処刑になったのはこうした理由が大きいのではないかと思ったりします。単純に見せしめというよりは、まさに彼らの『内戦』を決定的にしようとして。


敵対勢力を長期的に弱体化させる最もさえたやり方。
――分断統治をし、そして内戦を引き起こさせること。


所謂ただの戦争よりも内戦の方がずっと恐ろしいとされるのは、その敵対当事者がその後も同じコミュニティで生きていかなければならない、という点にあるわけですよ。むしろ『外敵』との戦いであればその後の展開は結構楽観的になれたりする。人類がぺリクレスの時代から学んでいるように、外敵が明確であれば構成員たちは結束するのだし。そうすれば敗北した後にあっても、彼らはその外敵の記憶を胸に結束し協力していけるから。
しかし内戦だとそうはいかない。その恨みは同じ未来を共有するはずの構成員へと向かうことになる。
――人間社会にとって内戦がただの戦争よりもずっと災厄をもたらすことが多い理由の一つ。アフリカの失敗国家の歴史なんてその典型ですよね。
あのイギリスさんちの植民地経営を筆頭に、分断統治がおっそろしいのこうした内戦への序曲を後世に残す点にあるわけですよ。独立運動あるいは独立後の彼らは、旧宗主国へではなく、お互いで内輪の怨恨を晴らすことに夢中になってしまうから。だからこそ悪魔的に上手くもいった。


それこそ独立失敗し「負ける」にしても、その敵が悪逆非道な事務所に対してであればよかったのにね。でも各種報道を見る限り、構成員の一人が仲裁(あるいは裏切り)に入れたことで、今回敗戦の無念さの矛先はメンバー内へと向かう可能性が高い。
SMAPの人たちはただ負けるどころか、身内に禍根を残す形で負けてしまった。敵を弱体化させるのにこれ以上ないほど冴えたやり方でしょう。


分断統治と内戦を煽ることで、敵対派閥の勢力を決定的に弱小化させることに成功したジャニーズ事務所。ただ独立騒動を封じただけではない。それだけだったら「悪いのは事務所だ」と団結もできたかもしれないのにね。しかしああして公開処刑で扱いに差をもたせ不和を「敢えて」演出することで、内部分裂へのハメコミっぷりを私たち視聴者は見せられている。


いやぁ芸能界ってコワイよね。