そろそろ現実を認めて「北朝鮮の核保有国化」世界へ向けて歩き出す時なのか?

でもそれもまた混乱ラバーな人たちへの福音に。


北朝鮮の脅威対応「時間との戦い」=米大統領の安保担当補佐官 - BBCニュース
【寄稿】 北朝鮮は均衡を破るのか そのきっかけは - BBCニュース
先日もミサイルぶっぱで風雲急というか予定通りというべきか、北朝鮮さんちの騒動が大盛り上がりだそうで。

マクマスター氏は原稿なしで行った発言で、「武力衝突に至らない形でこの問題を解決する方法はあるが、(金正恩朝鮮労働党委員長は)どんどん接近しているので、競争になっている。時間はあまり残されていない」と述べた。

北朝鮮の脅威対応「時間との戦い」=米大統領の安保担当補佐官 - BBCニュース

それなりに継続的にウォッチャーしてきた人たちの基本的理解からすれば、北朝鮮の核開発は阻止限界点はもう概ね越えていて、後はそれを覚悟で武力行使するかぐだぐだと黙認コースかの二択しかないわけで。その意味で言うと、既にボールはアメリカにあって、だからこれってアメリカの態度表明としてはとても適切で正直だと思うんですよね。おそらくここを逃せば北朝鮮の核保有国化は確実となり、後はその事実を黙認前提で交渉が進むことになる。
といってもそれはクリントンさん以来続く、歴代政権の継続でもあるんですけど。少なくともこれまでの北朝鮮はそれに成功してきた。
はたして四人目の大統領であるトランプさんはそのボールをどうするの?



ともあれ、もちろん武力行使コースは、当日記を普段からご覧いただいている皆様ご存知のように「混乱ラバー(byちきりん先生*1)」なんてとんでもないと強く思っている平和と安寧を愛する僕にとって、おっそろしい未来ではあります。
でも一方で、一応は平和的手法の部類であろうこれまで通りの対話継続――つまるところ棚上げ・現状維持といった『黙認』コース――でも、21世紀を占う国際関係の未来という点で、これはこれでクッソ面白い色々と考えてしまうお話となること不可避なんですよね。再び失敗した核不拡散という意味でも、そして私たち日本を含む東アジアの勢力図=対立関係という意味でも。このままの現状維持の先に混沌がやってくる可能性は、かなり、高い。
武力行使してもしなくても、デメリットがある北朝鮮核兵器問題について。



ということで、もしこのまま『北朝鮮の核』を黙認した場合に生まれるだろうリスクは概ね三点に分けられるのかなぁと。

  • 北朝鮮による核管理の不安。
    • そもそも北の核も中国とパキスタン経由ではあるし、それを考えるとそこから更に、という可能性。(ウクライナの方を見ながら)ついでに喉から手が出るほど欲しい『外貨』も稼げちゃうしね!
  • 周辺地政学への影響。
    • 現在の南北の対立、更に広がって日本や中国との関係変化。核抑止や地政学において「核兵器は国家間対立の安定化装置になりうるのか?」というのは伝統的テーマのひとつでもあります。米ソや印パなど一応は安定に成功したものの、少なくともその過程においては核兵器がそこに加わったことで、一層危うい綱渡りを繰り返すことになった。であるからこそ、日本や韓国へのドミノが真面目に語られているわけで。少なくとも賢者が学ぶべき歴史はそう証明している。
  • NPTへの影響。
    • 戦後世界の核兵器秩序の根幹となってきたNPT。しかしそれは、国家主義な人たちから核技術独占という大国との不平等条約であるとずっと言われてきたわけで。そして更に今では『ICAN』な人たちのノーベル平和賞受賞などで、むしろリベラルな人たちからすらも批判が強くなっている*2。左右両側から既存の核不拡散秩序への信頼感は失われつつある中で、新規核兵器保有国まで許してしまったらもうNPTはガバガバで機能していない、という評価は不可避であり、北朝鮮問題で失敗すればそれが一層進むのは確実でしょう。核保有国増加の第三の波がやってくるのか? そしてNPTの未来は?


いやぁどれがコケても「ハロー、カオスな21世紀ワールド」なコースになりそうでwktkしますよね。あ、間違えました僕は混乱ラバーではなく平和愛好家なのでガッカリしてます。
もちろん短期的には武力行使しない方がメリットは大きい(ように見える)。しかし長期的に見れば――それこそ現状維持の帰結こそが今現在の北朝鮮核兵器問題であるように――決して黙認することがベターな解答と言い切れるわけでは決してないんですよね。であるからこそ一部のアメリカ人たちは真剣に悩んでいる。



北朝鮮に核を持たせることを許してしまった時点で、どちらに転んでも暗い未来しか見えない。まぁでも「ヒロシマナガサキ以後」」の人類世界の歴史そのものだろうと言ってしまうと身も蓋もありませんけど。もう私たち核の火という知恵の実を食べてしまったのだから。
21世紀の「(核なき)戦争と(核ある)平和」 - maukitiの日記
以前も書きましたけど、このまま北朝鮮の核開発成功という現状を黙認することは「核による平和(均衡)」を認めることになりほとんどそのまま『核なき世界』の致命的後退を意味するし、かといってそれを認めず現状変更するにはもう武力以外にありそうになく、つまりそのまま「東アジアの平和」が失われることを意味する。


世界が『核なき世界』へと進みますように。あるいは世界が(これまで通りの核の均衡による)平和でありますように。混乱ラバーな人たちにとって、どっちに転んでも歴史が変わりかねない愉快な構図でニヤニヤが止まらないのでしょうね。


そんじゃーね!