いわんや『核なき世界』をや

核なき世界へと進むために必要なものを教えてくれた北朝鮮


史上初の米朝首脳会談、文書に署名 「北朝鮮との関係は大きく変わる」 - BBCニュース
米朝首脳:朝鮮半島の平和に向け不確実な道−「完全非核化」で合意 - Bloomberg
ということでいつもの如く、トランプ流なちゃぶ台返し返しもありつつも、どうにかこうにか第三種接近遭遇は無事に終わったようで。もちろん「結局何も決まってない」と悲観的に見ることもできますけども、しかし実質ファーストコンタクトだしね。まずは挨拶、以上の何かを望むのも無理筋でしょう。


個人的な心象風景としてはだいたいこんな感じ。

「世界に……危険な核兵器が多すぎる!
この世界は須く是正されねばならない!
しかし! 唐突に世界から核を無くそうとしても、愚民共にはまずついてこれまい!
そこで核大国と! しかし息切れを回避するため、あえてもう一越え!
これでもう安心!
無理なく核なき世界への第一歩!
即ち我々の目標とは――
半島の非核化!!」

こうした漸減手法に批判的な人も居たりしますけども、でもまぁいきなり一発逆転ホームランを狙うよりはずっと現実的でしょう。
まさにオバマさんの場合の第一歩とは『イラン』だったわけですけども、それはトランプさんによって――というよりは議会(=アメリ有権者)を説得できなかった為に、条約にもならないまま儚く消えた。北朝鮮も確実にこの前例を意識しているよね。
はたしてトランプさんによる『核なき世界』の第一歩はどうなるのか。


現状の北朝鮮との間で大揉めになっている「非核化」の定義についてすら合意できないのは、『核なき世界』への道のりの遠さを改めて考えさせられるお話でしょう。口で言うのは簡単だけど、米国と北朝鮮という二国間ですら合意できないのに、いわんや世界全体をや。
核なき世界とはつまり一体どういう状態のことなの?
単純に核兵器が無い状態?
実戦配備さえされていけなければ核なき世界?
それとも核兵器製造能力さえない状態?
更には核燃料管理がきちんと監視・検証されている状態?
以前から『文明の衝突』として日記ネタにしていますけども、こうした「定義の違い」による混沌ってそれこそカオスな現代世界を代表する事例だとは思うんですよね。しかし国によって「自由」「平和」「民主的」「謝罪」の定義が違うからこそ、しばしば私たちは差異を乗り越えて合意(したフリ)ができるわけで。ところが今回は差異があるからこそ、成果を生み出せない。


かといって定義をはっきりさせようとすると地獄を見るのは確実であります。であればこそトランプさんは何も決めなかった。定義を決めなければ決めないほど合意するのは簡単だものね。
この小さな朝鮮半島の中ですら定義で合意できないと言うことは、つまり……。





しかし今回の事で確実に言えるのは、北朝鮮核兵器を持つことで、悲願であった「半島の非核化」への一歩を進めることができた。
『核なき世界』に賛同する人たちに勝利の方程式が見えたかもしれないね。核をなくす為に核を持とう!
――しかしそんな結論だけではあまりにもあんまりなので、もしくは『核なき世界』のために朝鮮半島の非核化なんて失敗すればいいよね!


みなさんはいかがお考えでしょうか?