政治的正しさが生む鬼子

寛容さが生む不寛容さ。


【アメリカを読む】トランプ支持者が集結 「異性愛者パレード」で左右の対立浮き彫り(1/2ページ) - 産経ニュース
欧米的リベラル社会の縮図、あるいは負の側面、という感じはあるかなあ。

異性愛者であることは素晴らしい」とのプラカードを掲げたウィリアムと名乗る白人男性(22)もこの主張に賛同して、ボストン郊外からパレードに参加したという。「異性愛者は年々抑圧されているように感じる。LGBTのパレードは歓迎されるのに、今日のパレードに抗議が殺到しているのがその証拠だ」と話し、「LGBTは政府からあらゆる面で守られ、特権になっている。一番損をしているのは、異性愛者で白人男性である自分のような人間だ」と語った。

【アメリカを読む】トランプ支持者が集結 「異性愛者パレード」で左右の対立浮き彫り(1/2ページ) - 産経ニュース

差別されているかは個人の感覚の問題が大きいのでともかくとして、しかし「無視」されている、というのはまぁ間違いないよね。日本人でもキモくて金のないオジサンたちは割とそういう扱い(=公園通報無罪)だし、まぁやっぱり理解できない話というわけではないよねえ。
そうした人の票を浚ったのがまさにトランプ大統領の選挙戦術でもあったわけですけど。
そしてトランプの勝利は、上記のような彼ら彼女らが決して少数派でないことを証明した。。


面白いのは、そもそもの始まりがLGBYが社会に「受容された」「受容されつつある」ことのカウンターとしてこうした動きが出ている事でしょう。
まずそうした価値観の一般化が先にあってこそこの騒動は起きている。
だから上記白人男性の怒りはそのまま、少なくともアメリカ都市部がリベラルな社会である、ことの逆証明にもなっている。皮肉にも彼が怒っていることそれ自体が、現地社会におけるリベラルな価値観の優勢さ・勝利を証明してしまっている。


無視されているだけで実質的には何もマイナス面がないものの、しかし隣の庭の彼らは『特権』や『保護』を受けているので、自分が「相対的に」不利益を被っていると叫ぶ構図。
賛成するかはともかく、かなりの面で不当で感情的な怒りだとは解っていても、しかし構図としては理解できるしまぁちらほら見る光景でもある。
この辺は「初の」黒人大統領となったオバマさんの登場と構図がそっくりな所でもあるんですよね。
黒人が大統領にまでなれるようになったことで加速した「だったら何故黒人ばかり優遇されるのだ」という感情的な怒り。
その意味でアメリカ社会の日常ではあるかもしれない。


だからこうした騒動って後進さというよりは進歩していることの証明でもある。
ザ・生みの苦しみ。
そして、こうした流れに対する対応の中身こそが、今後の流れを決める分水嶺となっていくのだろうなあと思います。それが失敗した結果がトランプ政権爆誕であると。

ニューヨークのクイーンズ区からパレードに参加したパトリック・ラマさん(56)は、「トランプ支持者であることを地元で明かすと攻撃の対象になってしまうので、ひっそりと生活している」と語る。コネティカット州から参加した50代の白人男性は、自身のフェイスブックで人工妊娠中絶を禁止すべきだと書き込んだところ、左派の若者が自宅まで抗議にやってきたことがあるとも明かした。

 男性は「リベラル化が進みすぎて、自由な発言が許されない社会になっている。恐ろしいが、これが今の米国だ」と吐き捨てた。

【アメリカを読む】トランプ支持者が集結 「異性愛者パレード」で左右の対立浮き彫り(1/2ページ) - 産経ニュース

やっぱり私たち日本でもまったくの他人事とは思えないよね。


彼ら彼女らの不合理で感情的な怒りは、虚しい最後の抵抗なのか、あるいは反撃の狼煙なのか。




――ちなみに他に考慮しておかなければならない変数としてはグローバル世界では常態となった『移民』の存在があるわけで。
基本的には貧しい国や地域からやってくる彼らが同性愛や各種自由権といったリベラルな価値観に宥和的かと言うと……。まぁヨーロッパの現状なんかを見ると興味深いですよね。
長期的に彼らは確実に私たちの民主主義社会に影響を与えることになる。
そう考えると時代の流れは、『歴史の正しい側』に一体どちらが立っているのかを考えるとwktkしてくるお話。


みなさんはいかがお考えでしょうか?