人類には早すぎた『最大多数の最大幸福』

やっぱこれからは自国ファーストなポピュリズムの時代なんだよなあ。トランプ最高!


ワクチン2回接種 人口の50%超に 接種開始から7か月 政府公表 | 新型コロナ ワクチン(日本国内) | NHKニュース
ということで本邦でも着実にワクチン接種の数字が積みあがっているそうで。当初そんなペースは無理やろ~と懐疑的に見ていた僕ではありますが、これは素直に日本SUGOIと評価できるのではないかと思います。


CNN.co.jp : 「接種完了」の定義が変わる可能性も、ブースター接種の勧奨で 米CDC所長
ブースター接種、「全員に必要ではない」 英ワクチン開発者が主張 - BBCニュース
途上国での接種加速へ “少なくとも年末まで3回目控えて” WHO | 新型コロナ ワクチン(世界) | NHKニュース
ともあれその一方で、更にその先、「三回目」に向けて動きつつあるのが世界のトレンドでもあり、またそれに反対するWHOでもあるわけで。

テドロス事務局長は8日の記者会見で、先進国がWHOなどが主導する国際的な分配の枠組み「COVAXファシリティ」に寄付したワクチンが当初の約束の15%未満にとどまり、途上国への分配が遅れているとして「これ以上の約束はいらない。必要なのはワクチンだけだ」と先進国側を批判しました。

そして感染力が強い変異ウイルス「デルタ株」の感染拡大を受け、先進国を中心に3回目のワクチン接種の動きが広がっていることについて「すべての国で少なくとも人口の40%が接種できるよう、年内は追加の接種を一時的に停止するよう求める」と述べ、ワクチンを追加接種に充てる前にCOVAXに寄付するよう呼びかけました。

WHOは先月、途上国での接種を加速させるため今月末まで追加の接種を行わないよう呼びかけていましたが、先進国と途上国の格差が広がる中、改めて各国に協力を求めた形です

途上国での接種加速へ “少なくとも年末まで3回目控えて” WHO | 新型コロナ ワクチン(世界) | NHKニュース

いやあニンゲンの業って罪深いよねえ。
イスラエル 3回目ワクチン接種の対象、12歳以上に拡大 | 毎日新聞
先日も通常日記でイスラエルの試みについて書いた時にも少し触れましたけども、イスラエルが世界に先駆けて三回目に進んでいるのは理解できるんですよ。
普段から「世界を敵に回してでも生存する」事をあけすけに掲げ、実際に周辺諸国にそうした態度を隠そうとしない彼ら彼女らがそれをするのは、むしろ言行一致するとさえ言える。
――ところがぎっちょん、ほんの数年前まで自国第一主義を掲げたトランプ政権をあれだけ批判していたヨーロッパ諸国までもが、こぞってワクチンを買い占めている姿を見るのは愉悦部的にもこれ以上ないほど愉快な光景だとポップコーン片手に楽しんでおります。
パンデミックから抜け出す方法 追加接種のイスラエルから分かること - BBCニュース
イスラエルの「三回目接種」がほとんど効果ないと証明されればいいのにね。
もし、それで効果があると実証されてしまったら……。
既にそうなりつつあるのに、更なるワクチン争奪戦という醜い争いが続くこと間違いなしであります。


もちろん私たち日本人も他人事ではなくて、全世界で一回目接種の範囲を広げ感染者の総量を減らす『最大多数の最大幸福』という視点から見れば途上国に渡すべきワクチンを金で買い占め自国に優先させているんだから。
普段からジャパンファーストを言っている人たちはともかく、宇宙船地球号SDGsのような「誰ひとり取り残さない」ことを掲げていたのにワクチン接種が遅い! と政府を批判していた人たちの馬脚が期せずして見えてしまって、とっても愉快な気持ちにはなってしまいます。
逆説的に、こうした状況下にありながら「世界にワクチンを寄付すべきだ!」と(反ワクチンではないのに)きちんと主張していた人がいるなら、その人はマジのガチの本物なので今後も応援していけばいいと思います。
選挙で勝たなければいけないはずの政治家がそれを言っていたら政治的自殺だとも思いますけど。
「日本が買ったワクチンは日本だけのモノではない」なんて。
民主党政権……うっ、頭が……。*1




ここでもう一つすごく面白いのは、こうした全世界でのワクチン分配というマクロな構図で私たちがその『最大多数の最大幸福』を実現できないのって、ほとんどそのままよりミクロな自国内でもそれがなかなか上手くいかない理由そのものでもある点だと思うんですよね。
――つまり、自集団の利益を最大化しようとする人たち(ここではワクチンを買い占めている先進国の私たち)が、世界全体の利益なんて知ったことではないと利己的に振る舞うからその理想はいつまでたっても実現できない。
まぁそれって国内的な構図で見れば、政治的コネを持つ有力者やお金持ちなど雑にまとめてしまえば『上級国民』とされる人たちの利益が優先される構図、そのままでしょう。


普段は国内的に『上級国民』を論っている私たちが、世界的に見れば『上級世界市民』としてワクチン接種が優先されていることに疑問を持つどころか、むしろ「もっと急げ」「もっと多くワクチンを確保しろ」と自国政府を批判している構図。
いやあニンゲンの業って罪深いよねえ。(二回目)


そりゃ国内政治でも上級国民優先な政策が無くならないはずだよね。多分日本社会の上級国民な彼ら彼女らも、今のワクチン政策に文句を言っている私たちそのまんまの我欲に塗れた姿をしているんじゃないかな。
そしてそれは、おそらく、私たち人間のある種普遍的な姿でもある。
しかし、それでも、わずかな希望はあって。多分世界的なワクチン分配よりも、国内的なそれの方が解決する可能性が高いことでしょう。(それとは逆に、自国民より世界市民を優先させるなんて堂々と言える政治家なんて存在できるのだろうか?)
「我らは一蓮托生!」「ジャパンファーストだ!」と自国第一主義な扇動で大きな政策を実行できる可能性がまだあるから。
それが幸福なことなのか、あるいは不幸な事なのかはわかりませんけど。


未だに自分たち周辺のミクロな人的利益を優先させてしまう、人類には早すぎた『最大多数の最大幸福』について。
みなさんはいかがお考えでしょうか?
 
 

*1:その意味で言えば、やっぱりあの鳩山さんはガチのマジの本物の人だったと思うんですよね。やっぱり政治家としては致命的に向いてないと思いますけど。