誰がどうやってモノを運ぶのか問題

まさかここまで地政学が微笑む時代になるとは思わなかったよねえ。


アフリカがロシアによる戦争の「人質」に、食料危機でゼレンスキー氏 - BBCニュース
ということで割と大変になことになりつつある食料危機だそうで。

ロシアの侵攻とそれに伴う穀物輸出の遮断は、穀物と肥料不足を引き起こし、何百万人もの人が飢餓のリスクにさらされている。

AUCの議長は、世界の安定を取り戻すために「対話が急務」だと述べた。

西側諸国はロシアに対し、ウクライナ国内に備蓄されたままの膨大な量の穀物を国外へ放出するよう求めている。

輸出が阻まれ、食料価格は高騰している。

ゼレンスキー氏は演説で、「アフリカは事実上、我が国家に対して戦争を仕掛けた者たちの人質になっている」と述べた。

そして、ウクライナ黒海に面した港に滞留している穀物を解放するためにウクライナ政府は「複雑な交渉」に取り組んでいるとした。

「この戦争は、あなた方やあなたの国にとっては非常に遠くで起きていることのように思えるかもしれない」と、ゼレンスキー氏は語った。「ですが、破滅的に上昇する食料価格はすでに、アフリカの数百万の家庭に対して(この戦争の)影響を及ぼしている」

アフリカがロシアによる戦争の「人質」に、食料危機でゼレンスキー氏 - BBCニュース

当日記でも何度がネタにしてきましたけども、単純に需要が供給を上回る故に足りなくなるというよりは、もうちょっと副次的な要因による危機ではあります。
つまるところ、(戦争による)輸送危機である、と。


でもまぁ昔から割と想定されていた危機パターンの一つではあるんですよね。
船舶を中心に飛行機や鉄道など、効率的である故に些細なアクシデントによって一気に崩れかねない世界の輸送網に私たちは依存しているのは、まぁ最近のコロナやあるいは少し前のスエズ運河の封鎖事故などでも明らかだったわけでしょう。
そして今回は、見事に戦争によって重要な港が一つ使えなくなることで穀物輸出が遮断され、世界中に影響を与える羽目になっている。



最近も、amazon濫用などでミクロな私たちの個人的生活でも直面していた輸送問題というのが、こうしてマクロな世界でも起きているのはどちらにも共通した現代社会の限界、というか未だ解決できていない根本的な構造的欠陥を目の当たりにしているようでちょっと面白いよね。
――一体、誰が、どうやって、モノを運ぶのか?
どれだけ生産力を高めても、結局はその運ぶところは昔から変わらぬ形。距離の壁。
いや、むしろ生産力が高まっているからこそ輸送網の負荷は大きくなり、「いざ」という時の滞留の規模は昔とは比較にならないほどに大きくなっている。
誰かまたコンテナ革命みたいな発明をしてくれないものか。


その解決の一つの選択肢が『地産地消』なんだけれども、それはそれで比較優位なグローバル世界の大原則とコンフリクトしてしまう非効率とされかねないものでもあるし。
いやむしろ、安全保障という名の下に非効率なことをすることを求められている時代なのかもしれない。
その最たるものが本邦でも選挙の争点となっている2%な軍事費というお話でもあるんですけども、まぁ悲しいかなこちらも含め敢えて非効率なことをしなければならない時代なのでしょうねえ。


それが世界の常態なのか、あるいは例外的時代なのかは、基本的な世界観についてそれぞれご意見ご感想あるんでしょうけども。
みなさんはいかがお考えでしょうか?