「系」が守っていたもの

IRAと呼ばれたカトリック武装組織、のお話。


先週辺り盛り上がってた北アイルランドで1972年にあったテロ事件の真相について、日本語版ニューズウィークに出ていたので少し書く。
「テロ首謀者は神父」の衝撃 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
詳細は以下の所に詳しい。
今日、北アイルランドでの1972年の爆弾テロの真相が明らかになる。 - Togetter
Claudy bombing report due クローディ爆弾事件報告書公表直前→公表後(資料集): tnfuk [today's news from uk+]
語られてこなかったクローディ爆弾事件について、報告書が出た後に記事が多く出ている: tnfuk [today's news from uk+]

9人が犠牲になった72年7月のIRA(アイルランド共和軍)の爆弾テロは、カトリック教会の神父が主導した。イギリスの閣僚や教会はその事実を知りながら共謀して、彼を逮捕させなかった──8月24日、北アイルランド警察のオンブズマン、アル・ハッチンソンがまとめた衝撃的な報告書が公開され、68〜98年の北アイルランド紛争で聖職者が果たした役割についての疑念が飛び交っている。

「テロ首謀者は神父」の衝撃 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

まぁ確かに色々ともう表面的な部分はともかくとして、事実上はそうであるなんて皮肉混じりに語られていたりもしたわけですけど。それでもほとんど明確な証拠の下に「カトリック教会の神父」の犯行が明らかになってしまった衝撃は大きい。まさに、カトリック「系」武装組織じゃなくてカトリック「の」武装組織だったと。


お互いの信者などがそうした行動に走るのと、総本山である神父・牧師が犯行に走るのは、確かに紙一重ではあるもののその差は決定的で致命的です。更にそれを政府や教会が隠蔽していたとか尚更に。
そんな「隠していた」という事実は、つまり当時の関係者たちが公になったらロクでもない事になる、という予測があったからなんでしょう。実際今振り返ってみても悲しい事にその予想は正しかった、という結論になってしまうのはほんと救えない話ではあります。今更旧教vs新教の宗教戦争なんて悪夢以外の何物でもないから。


しかしまぁこうした端から見れば、内輪揉めに限りなく近い、泥沼の宗教戦争こそが現在のヨーロッパの宗教分離の下地を作ったとも言えるんでしょうか。単純な異教との争いではなくて、より近い身内の争いだったからこそ宗教戦争の不毛さに気付いたと。だからこそ当時の彼らもそんな致命的な事実を隠蔽したのかもしれない。
イスラム教もそんな意味でシーア派スンニ派の泥沼もいつか過去の話にできるんでしょうか。アメリカの撤退しつつあるイラクを見るとザ・現在進行形という感じで泣けますが。