何故『東京都青少年健全育成条例』はあんなに歪になってしまったのか、を考える-前編-

ということでそろそろ1ヶ月も経って、騒ぎも沈静化して皆忘れはじめた頃なので、ひっそりと書きます。


とりあえず話の前提としてあるのは、過激な性描写や暴力描写が「未発達な子供に悪影響を与える」という認識なんですよね。もちろんここさえも否定する人も居るんだろうけど、実際ここから否定する人はおそらくあんまり居ない。
例えば「小学生にポルノを見せないことが表現の自由を侵害しているか?」や、あるいは「小学生にポルノを売らないことが彼らの自由を侵害しているか?」という質問に頷く人はあまり居ない。その意味で「健全な育成の為に」何らかの措置を取ること、そのこと自体に反対する人は多数派ではないとはほとんど言いきれる。


その上で、今回の東京都の条例可決へ揶揄を込めて「石原さんの小説(アレで障子を破るやつとか)がスルーされて、漫画は規制されるなんておかしい」なんて言われているけども、確かにそれ自体は正しいとは言えるんですよね。だって普通に考えれば、文字による情報伝達よりも、絵による映像情報の方がより幼い子供に大きな影響をもたらすことは同意できるから。
子供がその情報を如何に上手く吸収できるかについて考えた時、その程度で言えばより原始的な手段である「文字<音声<映像」の順でしょう。だからより未発達な子供に影響を与えることが大きなものから規制すべきだというのは理解できない話ではない。
ここまでの議論ならば、おそらく「それなりに」人びとの賛成も得られたはずだと思うんです。子供への悪影響を減らす為にゾーニングをちゃんとやろう、と。それ自体にはほとんどの人が賛成するんだから。もっと穏便に進めていれば「表現の自由」の問題だって持ち出されることもなかったのに。それなのに何で「非実在青少年」とか訳のわからない斜め上の方向にまで至ってしまったんだろうか?


こうした「青少年保護育成条例*1」自体は東京都だけじゃなく他の自治体でもそれ自体は珍しい物ではないし、また日本だけじゃなく他の海外でもごくありふれた規制の一つであります。むしろ日本よりもずっと厳しい所の方が多い。
一体なんで今回に限って、ほんともう、こうもこんがらがってしまったんでしょうね?


以下次回に続く。
何故『東京都青少年健全育成条例』はあんなに歪になってしまったのか、を考える-後編- - maukitiの日記