ロシアさんちのオランダ病と、それをただ看過できない人びと

ぶっちゃければ、いつものポジショントークです、というお話ではあります。


ロシアの国際競争力、プーチン大統領時代に低下 世銀報告 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

 旧ソ連国家保安委員会(KGB)出身のプーチン氏は2000〜2008年にロシア大統領を務め、民営化されていたさまざまな産業の再国営化を進めたが、このプーチン政権下の政策に関する批判は珍しい。 

ロシアの国際競争力、プーチン大統領時代に低下 世銀報告 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

「珍しい」なんて言われていますけど、むしろそんなことはIMFやらOECDなんかでもうずっと以前(それこそプーチンさんが在任中だった当時)から言われていた事ですよね。ロシアさんちのオランダ病。何で今更こんなことが世界銀行を前面にしてニュースとして殊更に取り上げられるのかって、そりゃ次期大統領選を見据えてのことなんでしょう。やっぱり特に欧州の人々にとっては、リベラルなメドさんの方が嬉しいだろうなぁという気持ちが透けて見えるようです。夏だけにね!
しかし逆にそうした応援団が居るからこそメドベージェフさんの「外国に弱腰・都合のいい大統領」というレッテルに繋がってもいる辺りが、なんというかこの構図の悲しいところでもあります。メドさんを応援すればするほど、しかし逆にプーチンさんの国民の人気が上がることになると。なまじ過去の栄光があるだけに「強いロシア」という要素がより重要視されてしまうから。


勿論ロシアの国際競争力が低下しているのも事実なんだろうけど、しかしそれでも最近の情勢は、例えオランダ病に陥りつつあってもロシアに追い風なんですよね。武器の需要は相変わらずあるし、原子力はコケるし、中東は燃え上がっててそれどころじゃないし、私たち日本やドイツはガスだの何だの買いまくろうとしているし。何だか逆にロシアに都合が良すぎてこわい。


つまるところ、こうした世界銀行の報告書の意味する所は単純な「ロシア弱体化の懸念」というよりも、むしろ世界経済から切り離されつつあることや益々重要な資源国となりつつある「ロシアの孤立と強大化の懸念」であり、そしてその牽制なんじゃないかなぁと思うわけです。
多分この次はプーチンさんが「あまり強い言葉を遣うなよ、弱く見えるぞ」って言う。