『色彩なき革命』になっての帰還

革命の逆輸入。


大統領代行に国会議長を選出、ウクライナ新時代の幕開け 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
ということで一昨日の日記書いたのに、そこからまたもや怒涛の展開なウクライナさんちであります。21日に(欧露の容認の下)与野党の合意が成った時にはさすがにもう落ち着くかと思ったら、やっぱり良くも悪くも空気を読まない燃え上がる民衆の皆さんのパワーによって結局行き着くところ――大統領の放逐まで至ってしまったと。
ここまでの状況に暴走した要因は、おそらく、あの『アラブの春』の原体験があったりするのだろうなぁと。それこそエジプトを始めとするチュニジアリビアでも見られたような劇的な独裁者追放の再演として。
ウクライナ大統領、出国に失敗か 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
ヤヌコビッチ大統領の私邸公開、豪華な暮らしぶりが明らかに 写真14枚 国際ニュース:AFPBB News
こうした絵はまぁ少し前に見た風景そのまんまですよね。私腹を肥やしてきた大統領であり、そして逃げ出そうとする大統領。




多分ロシアさんち=プーチンさんとしては裏切られた思いで一杯なのだろうなぁと。とりあえずはヤヌコビッチさんの平和的な退任で手を打とうとしたところに、この展開で、そして更には欧米各国の現状追認宣言であるわけで。この辺りも『アラブの春』の初期の顛末をなぞっているようで皮肉なお話であります。あちらにはロシアさんちの重要な基地もあるわけだし、ソチオリンピックも概ね終わったことで、ロシアからの『反撃』があるのは間違いないでしょう。

 トゥルチノフ氏の大統領代行選出について、欧米各国は支援を表明しており、同氏は早くも欧米からの信任を得た形だ。だがロシアは不快感と懸念を募らせており、スーザン・ライス(Susan Rice)米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、親ロシアの政権樹立を目的にウクライナへの派兵を考えているならば、それは「大きな誤りだ」とロシアをけん制した。

大統領代行に国会議長を選出、ウクライナ新時代の幕開け 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

一方で欧米な皆さんとしてはその自由で民主的な自決権こそを大義名分に大盛り上がりであります。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40017
エコノミストさんなんかも煽りまくってるし。正直ここでこうなると中東などでの対立と違って本気の争いになりかねないのでオメガやばいんですよねぇ。そもそも、なんでこのウクライナがヤバいのかって、このような外国勢力やロビーの影響をものすごく受けやすい点にあるんですよね。単純に東西対立という言葉では片付けることのできない、長年の歴史・民族・宗教・言語問題が横たわっているわけで。
キエフ大公国 - Wikipedia
ルーシとかその辺のお話。それこそ独立以来どころか、800年前のモンゴル襲来によってその運命が決定的に変化した地域。もちろん僕はその辺りよく解らないのでさっぱりであります。


このウクライナの二つの特殊性、ヨーロッパとロシアの中間地帯という地政学的要件と、その本来持つ根深い――というよりはあまりにも燃えやすい対立構造について。
救いとしてはおそらくアメリカさんちもヨーロッパさんちも中東などでの振る舞いを見る限り、上記のような強気の言葉とは裏腹に、ぶっちゃけ「そこまで」本気ではないので、ロシアさんちが粘り強く且つ抑制的に振る舞ってくれさえすれば最低限現状維持という落としどころを見つけられるところでしょうか。逆に最悪のパターンとしては、ロシアさんちが先走って強硬なことをやってしまうと、アメリカも欧州連合も後には引けなくなってしまうという構図。
実際、前回のオレンジ革命も概ねそんな経緯を辿ったわけだし。


がんばれウクライナ