女児が欲しい日本の夫婦はサイコロを振らない

運を天に任せてサイコロは振りたくないけどでも女子は欲しい夫婦たちの福音。


日本人夫婦、タイでの男女産み分けが年々増加 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
ということで先日の着床前検査に関連して、日本では認められていない「男女産み分け」がタイで行われているそうで。

日本では原則として認められていない男女産み分けを、タイに渡航して行った夫婦が、2012年だけで少なくとも90組いたことが読売新聞の取材でわかった。
精子卵子を体外で受精させた受精卵の染色体を、子宮に戻す前に調べる着床前診断という方法を用い、確実に産み分けることができる。男女産み分けは「医療ではなく親の身勝手」との批判が強く、倫理面での議論を呼びそうだ。

日本人夫婦、タイでの男女産み分けが年々増加 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

まぁそう願ってしまう気持ち自体は理解できなくはないかなぁと。


さて置き、上記web版の読売記事では省略――あるいは会員版になら書いてあるのかもしれませんが、本紙によるとこの90組の日本人夫婦のうち「9割以上が女児を望んでいた」そうで。正直なんでなのかさっぱり解りません。
よく言われているように、普通、というか世界中の何処でも一般的には夫婦は『男児』こそを望んでいるわけですよね。有名どころでは中国の一人っ子政策の帰結であるとか。日本でもそれは同様で、男子を産めなくて姑にいびられる嫁、とか最早物語におけるある種のテンプレでさえあります。こんなことをぶっちゃけてしまうとある種の人たちに怒られてしまいそうですけど、しかしやっぱりそれは事実でもあるわけで。
ところがこうして最先端の医療技術を用いて、私たち現代日本人が望むのは『女児』であるのだと。
特にそのほとんどが「複数の男子を産んだ上で、尚女子が欲しいと願う夫婦」だそうです。本紙でも言及はされていませんでしたけど、おそらく他の国のカップルたちは男子を望んでいたのでしょう。いやぁ一体何で日本だけで女子を望んでいるなのかさっぱり解りません。まさかみんながみんな「ょぅι゛ょだいすき」とか思っているわけじゃないだろうし。


ということで以下仮説。

  • ほぼ世界中にある伝統的価値観な「男子相続」という意識の低下。
  • 男児が欲しい夫婦にとっては『自然な出産』というもう一度「サイコロを振る」ほどの価値が存在しているが、逆に女児を望む夫婦にとってはもう一度「サイコロを振る」ほどの価値がないからこそ、逆説的にその逃げ場としてこうしたある種のグレーゾーンにまで踏み込んでしまっている。
  • 妻だけでなく――必ず着床前診断にはその同意が必要であろう――夫さえも「ょぅι゛ょだいすき」だから。男児では夫の同意を得られない。


個人的には(一番目と関連しての)二番目が有力かなぁと思ったりします。
それは多数派な人たちの為ではなくて、むしろ少数派な人たちを救う為にこそ機能しているんじゃないのかと。本来であれば(経済的事情などで)それ以上の子供を持つことを諦めたであろう夫婦たち、という埋もれていたはずの需要を『着床前診断による男女産み分け』が掘り起こしている、という構図。
もし次も望んでいない方が生まれたらどうしよう、と悩む人たちへの福音。
その意味では、この状況はむしろ男女の自然のバランスを均衡にしているとも言えるのかもしれません。本来ならば諦められていたはずの女児の供給量を増やすことに繋がっているんだから。皮肉にもそれは現状の『男女産み分け』がグレーゾーンだからこそ、こうした状況を導いている。おそらくこれが合法化されたらまた男児偏重になってしまうんじゃないでしょうか。
みなさんはいかがお考えでしょうか?