音楽の若者離れ

「こうなったらイチかバチかだ!」→「ダメだったよ」


音楽離れに歯止めかからず。ダウンロードの刑事罰化の効果は(トピックニュース) - 経済 - livedoor ニュース
ということでものの見事に案の定という結果に(別の意味で)拍手喝采されているお話。

今回のアンケート結果では、音楽ダウンロードの利用経験、頻度がともに減少傾向にあると伝えており、1ヶ月あたりの音楽にかける金額についても「0円」という回答が実に68.6%を占めた。

今年の10月から施行された「違法ダウンロードの刑事罰化」により、音楽コンテンツの売上げ動向が注目されていた今回の調査だったが、蓋を開けてみれば、音楽業界の売り上げ回復どころか、「音楽離れ」の傾向が如実に現れる結果となった。

音楽離れに歯止めかからず。ダウンロードの刑事罰化の効果は(トピックニュース) - 経済 - livedoor ニュース

個人的には「やるならば15年くらい遅かった」という辺りでしょうか。まだ体力のあったその時期くらいまでにやっておけば、こうした劇薬に耐えられたかもしれない。
ミリオンセラーが出まくっている時代にこそ、こうしたことはやっておくべきだったんですよ。そうすればまだ多少パイは縮小しても勝負できたはずなのに。まぁなんというかケインズ先生の教訓ぽいお話ではあります。どう見ても市場は縮小傾向にあるのにも関わらず、何故かその全体のパイをより小さくすることに活路を見出そうとしてしまう心情。こうした時にこそ支出を増やしてでも全体のパイの大きさを下支えしなければいけないはずだったのに。
しかし現在の音楽業界にはそんな余力が残ってなかったんだよ、という耳が痛くて悲しいお話。


ともあれ、まぁこうしたお話の根本にはよく言われているように「CDのセールス」という点で大成功してしまった成功体験を未だ忘れられない音楽業界の悲哀、という構図でもあるのでしょうね。世界で最もCDが売れる素晴らしい市場だったからこそ、逆にそのバブルから次のステージへ進むタイミングを逃してしまった人たち。でも仕方ないよね。当時はその栄光がただひたすらに永遠に続くと確信していたんだから。いやぁよくあるお話過ぎてやはり乾いた笑いが出てきてしまいます。
『NO MUSIC, NO LIFE.』の果てにあったもの - maukitiの日記
以前の日記でも書きましたけど、確かに彼らは自らが掲げたそのスローガン通りの世界を生み出すことには成功したのです。「NO MUSIC, NO LIFE」だと。確かにそれは概ね成功したと言ってもいいでしょう。しかしそれは同時に日用品となることで稀少性を追求するようなものではなくなってしまったのです。つまり、どれだけ消費者たちのニーズの変遷に対応し続けることができるか、という点が焦点になってしまった。
ところがまぁ見事にそれに適応できなかった人たち。
そりゃタイミングを外し追い詰められた挙句にこんなこともやってしまいますよね。
――いや、別にいいんですよ、それこそかつてのテレビの役割にあった『劇的な宣伝効果』を別途に用意するアテがあるならばそれで。幾ら広告効果があろうと違法ダウンロードは確かに違法なのだから。ただその重要な広告の代替手段を用意せずにやっても自分の首を絞めるだけだったというオチ。


結局、このお話の行き着くところはそういう所なのかなぁと思ったりします。つまり、今後彼らはどうやってその商品――音楽を売る為に消費者に訴えていけばいいのか? (新しい価値として)何を伝えるのか? そして、どこで?