かつては同じ国だったその両者の明暗

同じような「女性の悲劇」でもその後の展開にこうして差が生まれるのは、なんというか、色々考えてしまうお話だなぁと。


[FT]レイプ事件が転機に 体制に怒り向けるインド人  :日本経済新聞
先週辺りから盛り上がってるインドさんちのお話。上記記事では今回のインドの大騒動について、ソーシャルメディアの果たした役割を挙げ、やっぱりそこには『アラブの春』と似た構造があったりするのでしょう。
しかし個人的は、こうした差別のお話に加えてそしてその着火点が『バス』ということを見ると、あのローザ・パークス*1さんを思い出してしまうなぁと。1955年アメリカにおいて、バスで白人用の座席を白人に譲るのを拒み逮捕されたことで、全米中に公民権運動を席巻させる契機となった事件。公民権運動の母。
今回のインドのお話も、人種と性差という違いはありますけども、「まともな」扱いを求める公民権運動に近いものがあったりするのかなぁと思います。


インド集団強姦、被害者をひき殺そうとした疑いも浮上 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
インド女性暴行死事件、恋人男性が絶望を語る 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News
集団暴行死事件で被告初出廷、予備審問は非公開 インド 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
ともあれ、確かに事件の詳細を見るみると、まぁどうしようもなくクソみたいなお話ではあります。ただまぁ皮肉なお話ではありますけども、こうして「大騒動になる」だけインドはまだマシではあるんですよね。その意味では今回の事件も、より善い社会の実現の一歩ではあるのかなぁと。
タリバンに頭撃たれた少女が退院、女児教育権求め活動 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News
一方で、そんな「声」すらあげられない国があったりするわけで。ていうかまさにその隣の国で。
ただ教育を求めただけで銃撃され、挙句危険すぎて国には帰れない彼女。そんな国と比べればおそらくインドは遥かにマシなのでしょう。どちらも女性の地位に関する悲劇という意味では違いはありませんが、しかしその後の対応として「少なくともその扱いに公然と声を挙げられる国」と「そのレベルにさえ達していない国」という明暗。
その意味では「まだ」インドには希望が見出せる。そしてパキスタンの方は、これからも地道に――つまり(進歩がないとは言いませんが)遅々とした歩みを進めていくしかない。


スタートラインはほとんど同じだったはずなのに、しかし決定的にその差が表われてしまっている両国。どちらも女性指導者を輩出していたりするけども、しかしその足元では、そしてその後の修正しようとする動きとしては、決定的な差があると言っても間違いではありませんよね。
まぁ世界中によくあるお話だといってしまってはそれまでではありますけども。