再びアジアの端っこで追い詰められるアメリカ

西の端から東の端へ。




http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39325
ということで日本でも大きな話題となった中国さんちの防空圏設定のお話。まぁ解説としてはこの辺が適当なのかなぁと。結局のところ大騒ぎしている私たち日本は副次的なお話にすぎなくて(というかそもそも非難する以外に事実上の選択肢はない)、結局アメリカ対中国の構図こそが今回の騒動の焦点でもあると。

 意識的か否かは別として、中国政府は今、尖閣諸島上空の支配権を東アジアに対する米国の安全保障のコミットメントを試すリトマステストに変えた。米国政府が中国の飛行制限を受け入れれば、米国はすべてのアジア諸国に対し、中国の拡張主義に対抗して現状を守るうえで米国を当てにできないというメッセージを送ることになる。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39325

かくして最近シリア辺りでも見かけたアメリカさんちの「決断を迫られる構図」が再現しているわけですよね。まぁこの辺り、あちらでのアメリカさんの振る舞いを見て中国さんちがこうして仕掛けたという面もかなりあるんじゃないかと思います。アサドさんが化学兵器を敢えて使うことでアメリカを試したのとまったく同じ構図を再現されている。
つまり、本国から遠く離れた地域対立にアメリカはどこまで首を突っ込む気があるのか、ということをここでも試されている。
まぁそのダシに使われた私たち日本としてはいい迷惑な話ではありますが、日本の尖閣諸島を舞台に選ばれた、という事実は逆説的に言えば中国からある種の信頼されている証拠でもあるんですよね。ここでならば火遊びをしても、いつもの「弱いものイジメ」とも見られることない対等の相手であり、またアメリカの重要な同盟国である日本でもあり、そして日本ならば比較的冷静に対応するだろうとも。まさにここでの対応こそがオバマ政権の対応を見極める上で、とても重要なメルクマールだと思われている。
果たして信号は赤なのか、黄なのか、それとも青なのか?


中国防空圏は「米への挑戦」…元NSC上級部長 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
マイケルグリーンさんが身も蓋もなく仰っているように、結局そういうことなんですよね。日本へ威圧することで、アメリカ「が」試されている。
その意味で個人的には今回のお話って、なんというか、日本の近くで勝手なことをされて怒るべきなのか、それともまったくの頭ごなしで物事が進められているのを怒るべきなのか、正直よくわからないお話だよなぁと。彼ら中国にとって本質的に重要なのは、日本の対応なんかじゃない。喜べばいいのか怒ればいいのか悔しがればいいのかよく解らない、身も蓋もない事実。
果たして日本を挑発することで、アメリカはどんな対応にでるのか?
かくしてシリアでの対応によって、再び決断の舞台へ追い詰められることになってしまったオバマさん。見事な東奔西走。でもまぁ当時から言われてきたことではありますよね。もちろんだからといって、無条件にシリアでも武力介入すればよかったなんて言うつもりもありませんけども、しかし一度譲歩をしてしまうと、その譲歩がどこまで通用するのか試したくなるのは当然の帰結であります。



いやぁあめりかさんちはたいへんだなー。
――と他人事で生暖かく見守ることも当事者である以上難しいので、がんばれアメリカということでひとつ。