ヨーロッパの境界の彼方

昨日に引き続き、意図しないところで追い詰められちゃうシリーズ。


EU協定拒否に10万人が抗議、衝突で100人超負傷 ウクライナ 写真7枚 国際ニュース:AFPBB News
ウクライナのデモ、庁舎封鎖しゼネスト宣言 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News
ということであちらは大騒動になっているそうで。第二オレンジ革命とかなんとか。
通常日記 - maukitiの日記
ウクライナはどちらの陣営を夢見るか? - maukitiの日記
ちょうど先月頃の釈放容認のニュースが出たとき、そしてそれが一転覆されたときにも当日記で、21世紀の欧露関係の趨勢を決めるだろうウクライナの重要性について書きましたけど、「EU寄りの政策→ロシアの巻き返しによる急転換→欧州派住民の反発」とまるでワザとやっているんじゃないかと思うくらいの展開を辿ってしまいつつある。上記日記ではあくまで最悪のケースとして「ウクライナさんちは下手すると(再び)深刻な内部対立に陥るんじゃないか」と書きましたけども、まぁ見事にそのコースであります。
ただ身も蓋もない見方をすれば、潜在的にあった対立が復活しただけ、とも言えるんですよね。
それこそ前回のオレンジ革命にしても、やっぱりロシアからの介入によって最終的にグダグダになって潰えたように、元々21世紀のウクライナにおける「ヨーロッパかロシアか」という問題はまったくの未解決状態だったんですよ。そして今回ものの見事に『再燃』させてしまった。いやぁ迂闊だよなぁと思うしかありません。前首相の釈放法案をひっくり返す位ならば初めからそんなことしなければよかったのにね。でも親露派とされている現政権はヨーロッパとロシアの両方にいい顔をしようとしたのか、結果としてご覧の有様に。
ザ・藪蛇。

旧ソ連時代の盟主ロシアではなく、EUとの統合を支持するデモの参加者はおよそ10万人に膨れ上がっており、2004年のオレンジ革命(Orange Revolution)以来の大規模な抗議行動となっている。その革命の象徴となった独立広場(Independence Square)で参加者らは、1日から2日にかけて野営して夜を明かすと、官庁街に大挙して移動しながらビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)大統領の即時退陣と、全国的な規模のストライキを呼び掛けた。(c)AFP

ウクライナのデモ、庁舎封鎖しゼネスト宣言 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News

ちなみにこの構図は、単純にロシア側だけでなく、やっぱりヨーロッパ側の『悪夢』ともなりつつあるんですよね。つまり、もしここで住民による民主的な主権行使、というまったく正当な形での意思表示が行われた場合、ヨーロッパは動かざるをえなくなってしまうから。それを見捨ててしまったら一体どこにEU大義があるというのか? 
しかし、それは、確実に、対ロシア関係の悪化を意味する。その意味ではべラルーシのように事実上の独裁下にある方がまだ話としては単純だったんですよ。ただ、呑気にそれを批判していればよかっただけだから。ところがウクライナはそうではない。口だけでなく手までも。
かくして徐々に決断しなければいけない立場に追い詰められていくヨーロッパさんち。いやぁ大変そうですよね。



果たしてウクライナはどちらの境界にあるのか。ロシアの側? それともヨーロッパの側?
世界のほぼ裏側にある、現状の私たちと他人事とは思えないお話。