南シナ海の争いに掛けられる未来

アメリカの痛し痒しな「いいぞもっとやれ」感。


米中戦略対話に臨んだ両国の胸の内 世界が注目する米中関係の行方(1/3) | JBpress(日本ビジネスプレス)
これはその通りでもあるかなぁと。パワーゲームとしては対立しているように見えて、また別の観点からは実はどちらも同じようなことを考えている米中というお話。まぁあんまり他人事と笑っていられないけれども、端から見ている分には大変面白い時代だと思います。果たしてこれはスエズ危機か、それともミュンヘン、あるいは満州か?

 また、戦略対話は双方にとり相手のデッドラインを探る好機である。たとえば、中国が知りたいのは、アメリカがどこまで南シナ海の問題に関わろうとしているかだ。むろん、オバマ政権はすでにレームダックであり、次期大統領が判明するまで中国の対米戦略は固まらない。

米中戦略対話に臨んだ両国の胸の内 世界が注目する米中関係の行方(1/3) | JBpress(日本ビジネスプレス)

ただこの構図において、アメリカが「本気で」言っているのかというと、やっぱりそうでもない所がこの両者の対決の面白い所ではありますよね。しばしば言われるように中国が悪者であればあるほど、アメリカが東南アジアでの『白馬の騎士』としてのポジションが強化されるわけだし。
ついでに言うと、中国がこうした「ヨーロッパにある」諸国際裁判所を無視すればするほど、その権威は更に失われることにもなる。21世紀における「伝統的国家主権」対「普遍的管轄権」の一つの分水嶺。もちろん僕なんかには最終的にどちらが正しいのかなんてさっぱり解りませんが、この南シナ海を巡るゴタゴタが一つのテストケースとなるのは間違いないでしょうね。


バルカン危機をきっかけにして法制度のグローバル化が始まり、その流れは国際刑事裁判所なんかとして(アメリカが尚も拒否しているように)ある程度までは結実した。少なくない日本の平和主義な人たちもそれに賛同してきたわけですけども、しかしここで中国のような大国が堂々とこうした判決を無視するようになると、その未来は正直暗いよね。
南シナ海仲裁裁判 中国が手続き停止を要求 | NHKニュース
仲裁裁判がまく南シナ海の火種 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
ということでこの南シナ海を巡る構図って、単純に米中の支配圏争いというだけでなく、同時にまた国際法なんかを中心にしたヨーロッパ生まれの『普遍的管轄権』の未来でもあるのでしょう。アメリカ一極時代の次にやってくる時代の、スタンダードになるかもしれない態度として。
ただ、こちらも中国が無視をすれば、それはそれでやっぱり中国と同じく元々普遍的管轄権なんてバカじゃねーのなアメリカさんちには好材料なので、「いいぞもっとやれ」感すごいよね。



みなさんはいかがお考えでしょうか?