移民に関しての先進諸国に共通するむき出しの本音

でも私たち一般市民ですら概ね同意するしかない冷たい方程式。



http://sankei.jp.msn.com/world/news/131208/erp13120807000001-n1.htm
そういえばイギリスさんちの移民新措置法が愉快なことになっているそうで。

英国のキャメロン首相が11月末、他の欧州連合(EU)諸国からの移民に対する失業手当など社会保障費の支給制限を来年1月1日から実施すると英BBCテレビに語ったことが、英国などEU内で波紋を呼んでいる。

 キャメロン氏が明らかにした“新措置法”は、不就労のEU移民は英入国から3カ月は社会保障支給の対象とならない▽明確に就労できる証明がない場合、6カ月で社会保障サービスの提供を打ち切る▽新規移民は住宅手当の申請ができない▽路上生活者や物ごいは強制送還する▽最低賃金を支払わない雇用者には4倍の罰金を科す−というもの。

 同氏は「これはしっかりと働き、正しいことをしている人たちと公平に扱うための措置だ」と述べ、新措置法の導入を正当化。「EUが保証する移動や移民の自由の理念は大切だが、手当が目当ての移民に厳しく対処できるよう、EUは変わらなければならない」と強調した。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/131208/erp13120807000001-n1.htm

そう願ってしまう気持ち自体は解らなくはないかなぁと。これがほんとうに根が深い問題なのは、単純に『移民忌避』という所からきているわけではない所にあるんですよね。例えば農業労働力や初期の工業労働力ならば教育がなくても通用したかもしれない、しかしもうそんな仕事は先進諸国では限りなく少ないし、最低限の教育を受けた労働力ですら国内に余っている。もっといえばMBAを持っていて当たり前のレベルが欲しい、なんて。
つまり、彼らはほんとうに――私たち日本だって例外ではない――教育を受けた有能な移民を欲しがっている一方で、しかし貧乏な移民には来てほしくない。社会保障費を増大させる貧乏な移民にはまったく来てほしくないけれども、しかし、(労働人口減少するのが確実な)将来の社会保障費を支えてくれる有能な移民には心の底から来てくれることを願っている。
あまりにもあんまりな、むき出しの本音。
これまでは「自由や平等や人権」といった建前の裏に隠されてきたこうした本音が、露呈するようになってきた現在の状況について。


まぁこうした考え方は、厄介な政治家たちだけにある感覚なのかと言うと、やっぱりそんなことないわけで。よりミクロな私たちの個人的実感でいえば、まったく同意するしかないんですよね。だって実際に、私たちはもう「子沢山」なんて価値観はありえないほぼ実現不可能だと確信しているし、問題なのは子供の『数』ではなく、より多くの教育費を投入した『質』であるとも確信しているわけだから。
もう我が子が普通に成功するには、ただの教育ではもはや足りない! 大教育を! 一心不乱に大教育を!


私たちが素朴に「家計を圧迫するから子供を産むのは控えよう」と考えるとのほとんど変わらないレベルで、政府は「予算を圧迫するから貧しい移民を受け入れるのをやめよう」と考えている。
まぁもちろん国家がやるのと家庭がやるのでは、そこには厳然とした人権という問題が横たわってもいるわけですけど。それでも私たちの意識という流れで言えば、国家がこうしたことを言い出すのはある意味で不可避であるのかなぁと。まさに正しく民意を反映しているだけとも言えるもしれない。


金持ちはいつでもウェルカムだけど、貧乏人はできるだけノーサンキュー。そんな身も蓋もないジレンマについて。