善きイスラムには旅をさせろ

『移動社会』たる彼らの文化。


CNN.co.jp : イスラム教徒の火星行き禁止、「自殺行為」 UAEが宗教令 - (1/2)
へー愉快なファトワもあるもんだなぁと思ったけどこの辺の宗教令ってそれはもうピンキリ色々なのが無数に出たりしているので、その一環なんじゃないかなぁと思ったりします。広義にはあの巡礼もそうであるように、実際イスラムの人たちってまぁ『旅』好きでもあるわけで。
だから今回のそれも、ホイホイ火星とか行ったらあかんで、位の意味じゃないかなぁと。

さらに、「イスラム教徒は『天と地』における神の創造の証しを探し求めよ」と説いたコーランの1節を引用し、火星の最初の定住者は、14世紀に北アフリカと中東、アジアを旅したイスラム教徒のモロッコ人探検家イブン・バトゥータの足跡をたどることになると言い添えた。

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でもまぁ人類史に燦然と輝く世紀の「職業:旅人」であるイブン・バットゥータさんという例を出すのは、ちょっとアレではありますよね。当時のイスラム知識人やら宗教者にとって旅をすることは、その自身の能力の研鑽を意味していたわけで。世界中を旅しているそれ自体が、多くの師から教えや様々な経験を積んだ素晴らしき人間であることの証明でもあった。
こうした文化的背景があってこそ、旅する側だけでなく、受け入れる側の意識=旅人は大事にする、という常識が根付いていったわけで。そんな旅人たちの極北が、特にこうした文化の強かった=イスラムの広がりの最前線の一つでもあったモロッコ出身の上記イブン・バットゥータさんであったのでした。


まぁそんなイスラムの「移動社会」な価値観はやっぱり現代でも受け継がれているんですよね。彼らは移住し、そしてそこでコミュニティを作り、後からやってくる人を受け入れる。イスラムの本能と呼ぶべき何か。
でも、そんなイスラムの本能が、現代のヨーロッパなどで現地社会における『多文化』という理念と軋轢を生んだりもしているんですよね。


ジハードと自殺禁止の補完関係については次回。