クリミア危機が教えてくれる、歴史・領土問題が新たなステージに進むタイミング

『火』ではなく『油』の役割を果たすもの。


朴槿恵が中国に「NO」と言えない理由:日経ビジネスオンライン
まぁなんというか、難儀なお国ではありますよね。

 今回の3カ国首脳会談は日本や韓国では「日韓の外交戦」として捉えがちです。安倍首相が「河野談話の見直しをしない」と表明したり、朴槿恵大統領がそれを「幸いだ」と評価したり。そうした手続きを経て会談が実現しましたので、表面的にはそう見えます。

 でも、少しズームを引けば、米国と中国の外交戦の一環であることがよく分かります。日韓はもう、米中の代理戦争を戦っているのです。

朴槿恵が中国に「NO」と言えない理由:日経ビジネスオンライン

この辺の視点はなるほどなぁと。実際の所は、常日頃彼らが言っている「アジアのバランサー」という役割を懸命に果たしているだけ、という言い方もできるかもしれませんけど。


ともあれ、こうなってくると問題が更にめんどくさくなるのが、今回のような歴史問題や(竹島などの)領土問題なんですよね。
ぶっちゃけ平時にはそれがそこまで問題になることはないんですよ。まぁもちろんそこにしこりがあるのは確実なんですけども、しかしそうした確執が一定ラインを超えるということはまずない。こうした二国間関係は「それこそ」世界中にありながら、そのほとんどが少なくとも表面上は落ち着いているように見えるのは、そういう理由があるからなわけです。そうした歴史や(大して重要でもない島などをめぐっての)領土などの副次的な関係悪化であれば、そうした過去の問題というのはやっぱり「現在」「未来」に決定的な悪影響を与える要因ではないのです。
――ところが両者が同盟国という関係から外れたり別の理由から政治的に決定的な亀裂が生まれ、両国が緊張状態に陥ってくると、そうした「過去」の問題は急激に意味を持つようになるのです。


それを見事に証明したのが、現在のあのウクライナとクリミアの問題だったわけですよね。


もちろんそこにはロシアウクライナ間の、長年の歴史領土問題があったわけですけども、やっぱりそこが決定的な主な要因ではなかった。むしろそれは決定的な政治的分裂の危機があってこそ、その次に意味を持つようになった。その後の危機において、そうした過去の問題はロシアさんがやってみせたように現在の問題において正当化の為に利用されたわけであります。
こうした歴史領土問題が真に『発火』するのはこうしたタイミングなんですよね。故に、それが潜在的な意味で危険である、という意味でもある。決してそれが最初に火を付けるわけではなく、むしろ致命的な利害対立が起きた「後の」タイミングでこそ深刻な問題となるのです。




ただまぁ昨今の韓国さんちの振る舞いを見ると、どうしてもまず歴史領土問題がありきで中国シフトを進めているように見えてしまうのは、苦笑いするしかないところではあるんですが。それこそ米国は「日韓にある歴史領土問題」で良くても中立にしか立ってくれないから、中国シフトを進めるのだ、少なくとも彼らは自分たちの主張を分かってくれる、なんて。手段と目的の逆転。
いや、そこまでバカなことはしないとは思うんですけども。私たち日本にはあまり理解できませんけども、彼らには米中を天秤にかけるだけの深い戦略的意図があったりするのでしょう。
おそらく。
たぶん。
きっと。
ある、……はず。