幻想を守る側と、幻想をぶち壊す側の戦い

ウクライナは「例外」か、それとも「始まり」か。


親ロシア派、東部ドネツクで「共和国」樹立を宣言 ウクライナ 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News
昨日の日記でも少し触れましたけども、ウクライナさんちは――案の定というべきか――次は東部で愉快なことをやっているそうで。

【4月7日 AFP】ウクライナ東部ドネツク(Donetsk)で7日、行政庁舎を占拠している親ロシア派の活動家たちが「人民共和国」の樹立を宣言した。占拠している建物から出てきた活動家らの広報役が、報道陣らに向けて発表した。

 動画投稿サイトのユーチューブ(YouTube)には、占拠しているドネツク庁舎とみられる議場を埋め尽くした親ロシア派の活動家らに向かって、演壇に立った男性がロシア語で主権国家ドネツク民共和国(People's Republic of Donetsk)」の樹立を宣言し、喝采を浴びる動画が投稿された。

親ロシア派、東部ドネツクで「共和国」樹立を宣言 ウクライナ 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News

まぁ仮にキエフでやったことを認められるなら、ここでやったことも100%全て否定するわけにはいきませんよね。気に食わない政府を追い出して自分たちの勝手にしてやるんだ感。そもそも追い出されたヤヌコビッチさんはこの辺の東部や南部の支持によって選出された大統領でもあったわけで。それがああして見事に放逐されてしまった。
もう一度それをやり返しているだけ、と言われればまぁそれなりに頷くしかありませんよね。
――だから二度目のこれはやっぱり喜劇にしか見えない。
繰り返されるは二度目の喜劇、なら三度目以降は?


21世紀の今だからこそ領土問題が流行る理由 - maukitiの日記
しかしこうして繰り返される騒動を見ていると、二年前の日記で書いた「領土は最早動かない」という幻想が、完全に崩れつつあるよなぁとしみじみ思ってしまいます。まさか2年でこんなに激変するなんて。ぶっちゃけプーチンさんがここまで押しまくり、一方で欧米の皆さんが全くの後手後手にまわっているのはやっぱりこういう背景と幻想があったからなのだと思います。
まさかここまで「あからさまに」プーチンさんが国境線を動かそうとしている事態に、まるで状況変化への対処が追い付いていない。
今回のウクライナでの騒動について長期的影響として見るならば、問題はこれが局所的な動きのみで終わるか否か、という点こそが重要なのでしょう。これが例外であればそれでいい。でも、もし、後に続く動きが続々と出てきたら?
確かに上記にあったような「領土は固定されている」というのは概ね幻想ではあったものの、しかしそれでも――コソボなどの『例外』を内包しながらも――暗黙の了解としてそれなりに機能していたし、その効果がまったくなかったとも言うこともできないでしょう。まぁ国際法や国際機関なんて本質的に国家のそれと同じかあるいはそれ以上に『幻想の上に』成り立っていると言うと身も蓋もないんですけど。
ところがそんな幻想がぶち壊されつつある時、やってきつつあるのはパワーゲーム剥き出しの国際関係だったっていうオチ。


プーチンさんの『そげぶ』。
この構図において、やっぱり幻想を維持することを前提に動こうとしている欧米各国が後手にまわるのは必然であるのだろうなぁ。