『対テロ戦争』の(皮肉な)勝利

ここまで読んでいたのか、結果オーライなのか、ブッシュさんのイラク戦争11年後の帰結。


議会選目前のイラクで爆弾攻撃相次ぐ、全土で57人死亡 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
イラク、マリキ首相派の勝利濃厚 総選挙、テロに厳戒態勢 - 47NEWS(よんななニュース)
イラク各地で砲撃や銃撃、24時間で30人余り死亡 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
そういえば選挙に前後してやっぱりイラクはシリアからの影響や宗派対立などから大荒れのようで。

 総選挙の票集計が続く中で相次ぐ流血の事態について、当局は隣国シリアの内戦を外部要因として挙げているが、アナリストや外交筋はスンニ派アラブ系少数派の中で広まる不満も主な要因の一つだと指摘している。(c)AFP/Salam FARAJ

イラク各地で砲撃や銃撃、24時間で30人余り死亡 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

まぁなんというか、イラクもほんともうぐだぐだでありますよね。どちらがマシだったかはともかくとして、しかしフセインさんの独裁時代とはまた違った国内がひたすらカオスな状況。


ほんとうに皮肉なお話ではありますが、こうしたイラクの現状ってアメリカ自身に致命的なネガティブな影響があるのかというと、実はそんなことないんですよね。だって少なくとももう米軍は事実上撤退しているし、そこで何人死のうが知ったことではない、というのは概ね正しい。
このイラクの混乱の元を辿れば当然アメリカの責任だというのは間違いないでしょう。あのバカげた思い込みと勘違いから始まったイラク戦争。スンニとシーアの中間地帯だったイラクの重石であったサダムさんをさっくり排除してしまったアメリカ。その余波は、シリアを筆頭に中東諸国の緊張状態な今を見ればまぁご覧の有り様であります。
――しかし、それでも、あの戦争と戦後の混乱によって、以後アメリカ本国を狙ったテロ攻撃そのものは激減しているんですよね。
それまでシーア派を敵としない、というかぶっちゃけ無視していたアルカイダ系列の多くの勢力ですら、現状の主目標はもうイラク政府などの各国政府やシーア派あるいはシリアなどの方を向いてしまっているわけで。結果的に現在起きているのは、イスラム文明対欧米文明、ですらなくただひたすらイスラム世界での内部争いでしかない。ビンラディンさんがアルカイダという画期的な国際ネットワークをイスラム世界に生み出す以前の状況に逆戻りですよ。
ブッシュさんが始めた馬鹿げたイラク戦争の帰結、そこへ更にオバマさん時代になって「後の事は知ったことではない」と更に米軍を後退させ、シリアの関与も減らすことで、米軍抜きという状況は更に加速している。この辺の皮肉な状況は最近のオバマさんのそれも近いことが言えるような気がしますけども、その辺はまた今度。
まぁもちろん今後より大きな破滅が待っているのかもしれませんけども、しかし現状の結果だけを見れば、その米国本土へのテロ攻撃を抑止するという意味ではかなり成功しているのは面白い帰結だよなぁと思います。もしこのままの傾向が続けば、実はイラク戦争対テロ戦争としては成功だったなんて言われる、かもしれない。



ぶっしゅさんのがいこうせいさくはすばらしかったんや!