もう既にガバガバでユルユルじゃないですかー

昨日の通常日記ネタから少しだけ言及。「先っちょだけでいいから!」を許し続けてきた結果。


集団的自衛権巡り各党が議論 NHKニュース
集団的自衛権の検討加速へ、安倍首相が表明 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
大騒ぎの集団的自衛権のお話であります。

著名投資家でヘッジファンドのキニコス・アソシエーツを率いるジム・チャノス氏は16日、安倍晋三首相は日本を再武装させようとしているとして、アジアで最も危険な人物だと述べた。

安倍首相はアジアで最も危険な人物=ヘッジファンド首脳| Reuters

昨日の日記でも書きましたけど、「再武装化」とか「海外派兵」とか、ぶっちゃけ今更すぎますよね。そんなの安倍さんが今になって始めたことですらないわけですよ。私たちは解釈によって、自衛隊という事実上の軍隊を持つようになっているし、もうそれをPKOなどを通じて海外に派遣している。その大前提を無視しているのか見ないフリをしているのかは知りませんけども、現状ここまで進んでしまっているからこそ更にその先にある集団的自衛権の問題にまで至ってしまっているわけで。
それこそ自衛隊の存在そのものだってそうだったし『PKO法案』だって『イラク特措法』だって、厳密に見れば憲法違反ということだってできたはずだったんですよ。でも、結局は解釈変更で乗り切りここまできている。
だから今回のそれも「憲法解釈」だけを焦点に見ると、いつもの風景ということでしかない。安倍さんに限った話ではなく、時の政権はいつだって小手先の回避や解釈によって議論を回避し先送りにしてきたのです。それこそ前任者たちの叡智に倣っているだけ、とも言える。




さて置き(特に誰かを熱心に説得したいわけでもないあくまで個人的意見としては)これ以上『解釈』を拡大する位ならさっさと『改正』した方が良いとは思いますけれども、多分多くの日本人――大多数の日本の人たちは、そんな所までは望んでいないのでこういう結果になっているんじゃないかとは思います。解釈は許しても改正は許せない。
だからこそ上記のような憲法解釈変更の事例はこうして積み重ねられてきたんじゃないのかと。その上で、限定的集団自衛権を拒否しているわけでもない、というのが世論の多数派ではないかと。つまるところ「憲法を変えるまでもないが、(限定的な)集団的自衛権は賛成」という辺り。
九条という理念と共に死ぬ気はないけれども、しかしだからといって、それを完全に捨てる気も今はまだない。良く言えば、理念と現実を上手くバランスさせている、と言うことはできるかもしれない。
――悪く言うと、ぶっちゃけ都合のいい話だよね。
そしてもっと言えば、おそらく憲法改正という議論について現実的な課題として私たち日本人はそもそも初めから真剣に考えていない。でもしょうがないよね、だってこれまで一度もやったことないんだから。その意味で言うと、所謂『護憲派』の人たちの行動はそれなりに成功していて、しかしその『不磨の大典』扱い故に、憲法解釈議論への無関心さや距離感にまでに繋がっているんじゃないかと思ったりします。
改正に賛成とか反対とかそういうレベルですらない。かくして解釈の実績だけが着々と積み上げられていく。



そうして私たち有権者や野党はこれまでもう何度も、時の政府による「先っちょだけでいいから!」という振る舞いをもう何度も許してきた。本番じゃないから、改正じゃなければセーフだから。

民主党の大畠幹事長は「有識者懇談会の報告書の内容のすべては否定しないが、憲法解釈の変更につながることを、与党だけの話し合いで、意見が一致すればいいというわけにはいかない。時の政権が必要最小限度と定義して集団的自衛権を行使できるようにするのは憲法解釈が、まるでゴムのように広がったり縮んだりして、大いに問題だ。どうしても集団的自衛権の行使を容認したいならば、堂々と憲法改正を打ち出していくべきだ」と述べました。

集団的自衛権巡り各党が議論 NHKニュース

「大いに問題」なのは確実でしょう。でも現実はもう既に伸びたゴムのようにガバガバでユルユルなんですよね。


多分今回も同じことになるんじゃないかな。でももう慣れた行為じゃないですか。いやぁ大人になるって悲しいことだなぁ。