経済、政治、そして社会問題についての究極の疑問の答え

「何度も徹底的に検算しました」



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42361
『移民論争』が西側諸国の最も主要な論争になってきているよ、というお話。まぁ理解できるお話というか、ある種人間社会のいつもの帰結な構図ではあるかなぁと。魔女狩りと言ってしまっては身も蓋もありませんけど。

西側諸国の政治家が最も懸念すべきテーマは何だろうか。経済成長だろうか、格差の拡大だろうか、環境問題だろうか、それとも教育問題だろうか。最近の議論の様子から判断するなら、正解はこの4つの中にはないように思われる。

 実はこの1カ月間に、米国のバラク・オバマ大統領と英国のデビッド・キャメロン首相の両首脳が移民問題について重要な講演を行っている。また先週末にはスイスで国民投票が実施され、同国への移民流入を事実上終了させる提案が反対多数で否決された。しかし、スウェーデンやイタリアなど他の欧州諸国ではこの1年間で、移民の受け入れに反対する政党が大きく勢力を伸ばしている。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42361

ここで重要なのは、引用先本文でも指摘されている通り、「客観的事実として」移民問題が国内政治に最も大きな割合を占めているからこそ、各国政治家が最も懸念する政策論争としてあるわけではないという点でしょう。もちろんまったく無関係でもないしある程度の要因とは言えるものの、移民だけが全ての元凶と言うわけでは絶対にない。
移民による影響力の実態はともかくとして、むしろ多くの人びとがそう信じているからこそ有権者の思い=選挙における最重要の論争として浮上しているのだと思うんですよね。


テロ問題、社会不安、経済危機、頻発する混沌は一体全体どうしてこんなことになったのだ?
――「何もかも移民が悪い!」なんて。

  • 移民が多過ぎるから俺たちの仕事が奪われた。
  • 移民が多過ぎるから俺たちの地元社会が崩壊した。
  • 移民が多過ぎるから俺たちの税金が無駄に使われた。

現実の政策論争として、非常に訴求力のある移民問題は決定的に大きな割合を占めるようになってしまった。だってその因果関係は、誰にとっても素朴に理解しやすいモノだから。
セイジッテムズカシイヨネ - maukitiの日記
以前の日記でも書いたお話ではありますが、経済問題にしろ政治問題にしろ社会問題にしろ、前提となる専門知識によるハードルだけでなく死ぬほど複雑で多数の利害関係が絡む以上単純な解決方法なんて現代社会ではあり得ないんですよ。ところがだからこそ逆にその単純すぎる『移民』による因果関係という主張は、一定の説得力を持って受け入れられてしまう。
それこそ「世の中の問題は○○を解決すれば全て良くなる!」なんてセカイ系な世界観に生きる人は、右にも左にも少なくないわけで。日本でも状況はほとんど一緒ですよね。自民党さえ、在日さえ、アメリカさえ、大企業さえ、居なくなれば日本の抱える問題は(概ね)解決するのだ! なんてバカなことを言う人は一杯いる。


確かに解りやすい問題の単純化ではありますよね。そして人間社会における普遍的な風景でもある。政治的アピールとして上手い手法であるとすら言えるかもしれない。見知らぬ異邦人が問題の元凶でありそれを排除すれば一挙に解決するのだ。
ザ・魔女狩り
進歩した道徳観を持つ現代世界ではそこまであからさまな言葉ではなくよりオブラートに包んだ感じですが、しかし概ね構図はそれに近い。


複雑すぎる現代の諸問題に立ち竦んでしまうからこそ、あまりにも乱暴に単純化された論理に転んでしまう。何もかもアイツが悪い。
現在の政策論争にとって『移民』というのはマジックワードであり、ある種のシンボルとなってしまっているのではないかと。


みなさんはいかがお考えでしょうか?