グレートゲームのど真ん中で平和をさけぶ

血から金へ。同じ利害関係者になろう。


元米軍首脳ら、議会に貿易協定の推進要求 TPP締結のために大統領にファストトラック権限を与えよ | JBpress(日本ビジネスプレス)
ということで元米軍首脳経験者たちによるTPP推進書簡だそうで。なんというか変な方向からの応援団で愉快なお話ではありますよね。しかし個人的にもまぁ彼らの言っていることは正論だとも思います。(日本など米国「以外」の国々にとって)子細な中身の是非はさて置くとして、やはりTPPは太平洋における米国覇権を維持していくうえで重要な役割を持っているのでしょう。
つまり、投資や貿易の自由化を通じてお互いの経済相互性を高めることが、国家安全保障に直結する。かつてのヨーロッパなんかでは宗教や王族の血で平和的連帯の礎としていた接着剤の役割は、現代では経済関係こそが大きな役割を担っている。
我々は同じ利害関係者になろうではないか、なんて。
平和はカネで買える。商業的平和論(Capitalist Peace )のはじまり - リアリズムと防衛ブログ
平和はやっぱりカネで買える。ガーツキーの商業的平和論(Capitalist peace) - リアリズムと防衛ブログ
この辺は最近も『リアリズムと防衛を学ぶ』さんがタイムリー書いていたお話であります。元米軍首脳たちが、現代的なリベラリズムな平和連帯論を訴えている構図。本気で自国安全保障を追求する彼らにとってはまぁやっぱり必死になる理由はありますよね。
「米国追随なら日本に未来ない」 中国軍幹部、高村氏に発言 - 47NEWS(よんななニュース)
ただまぁアメリカ以外の私たちにとってその一方には、中国さんちがいるわけで。じゃあただアメリカとの連携を強めることが単純に地域安定につながるかというと、中国との関係を考えるとそういうわけにもいかない。しかし更にもう一方で、TPPを推進せずアメリカとの連携を弱めることが引いては(ただでさえ引きこもり志向が強くなっている)アメリカの関与のインセンティブを更に弱めることになってしまう。アメリカと同盟を組むということはアメリカと戦争をしなくて済むという意味でもあるわけで。
一方と関係強化するという事は、もう一方の同盟との関係悪化でもある。完全なゼロサムゲームだとは言えないけれども、だからといってそこにゼロサムな要素が無いなんてことも絶対に言えない。


かくして東・東南アジアを中心にした米中の綱引き=グレートゲームは現在進行形で続く。ある意味で、まさにその一方で当事者であるからこそ切実な要請として出てきた元米軍首脳たちの書簡。まぁやっぱりこうした構図にTPPは無関係でいられない――どころか致命的に重要である以上、こうしたものが出るのも自然の流れなのでしょう。
政治と経済と軍事、どれか都合の良い所だけをつまみ食いなんてそう簡単じゃない。というのはまぁ特に二大国との間で狡猾に立ち回ろうとしているものの、より直裁で遠慮のない両サイドからの注文に悩まされまくっている最近のお隣の国を見るとよく解るお話ですよね。


みなさんはいかがお考えでしょうか?