前回ガラスの天井を破れなかった彼女の好機

このまま中国が更に前に出てくるとヒラリーさんのポジションに有利になるかもしれないね。



ヒラリー氏、国連で女性会議主宰の習主席に「恥知らず」:朝日新聞デジタル
ということでヒラリーさんが習さんに「shameless」とぶっちゃけたそうで。いやぁトランプさんのおかげか大分ハードルが下がってる感はありますよね。端から見ている分には面白いですけど。

次期米大統領選で民主党の最有力候補とされるヒラリー・クリントン国務長官(67)は27日、ツイッターで「フェミニストを迫害しながら、習(近平・国家主席)が国連で女性の権利会合を催すって? 恥知らずな」と発信した。

 クリントン氏は1995年に北京で開かれた「世界女性会議」に出席し「人権は女性の権利であり女性の権利は人権である」と演説した。

ヒラリー氏、国連で女性会議主宰の習主席に「恥知らず」:朝日新聞デジタル

でもまぁ彼女が、いやヒラリー・ロダム・クリントンな彼女だからこそ、それを言う資格があると言うことはやっぱりできると思うんですよね。上記にある北京での演説もそうだし、ついでに彼女は前回の大統領選での(自身はそれが大統領職にネガティブだとしてあまり前面に出すことを好まなかった*1)テーマの一つが「(女性にとっての)最後のガラスの天井をぶち破ろう」だったわけだから。その意味で中国相手に敢えて女性人権問題にケンカを売る、という手法はやっぱりそれなりに文脈のあることではないかと思います。




余談ではありますが、ヒラリーさんの最初の自伝である『リビング・ヒストリー』は2003年に中国でも出版されたわけですが、まぁ中国版では原作者側に「無断で」検閲改竄されていたことで少しニュースになったんですよね。
アメリカ出版業界ニュース【2004/01/05】
特に中国人権活動家との交流や天安門に関する部分は削られまくっていたそうで。ちなみに当時の中国側の言い分としては「企業が」勝手にやったことであり政府は一切関知しないというものでもあった。
もちろんこんなのは大半の翻訳本で実施されている中国出版界における日常茶飯事でもあるわけですが*2、しかし彼女が特に著名人であり、それに反発し権利引き上げにまで至って、結構な話題になったのを憶えている人もいるかもしれません。


ともあれ、まぁこうしたヒラリーさんと中国の人権問題って、その後の国務長官時代の対中強硬姿勢もそうですけど、単純に(クリントン政権時代の)パンダハガーや次の大統領選挙という構図だけでは済まされないまぁ結構色々あって面白いよねぇと。
ということで今回の「恥知らず」発言ってただのハードルが下がった故の放言と言うよりは、それなりに理解できる文脈にあるのかもしれない。中国とヒラリーさんの関係史にまた新たな1ページが追加ということでやっぱり興味深いです。


がんばれヒラリーさん。

*1:http://www.economic-statistics.jp/glasss.html

*2:ちなみにFRB議長のグリーンスパンさんの自伝も同じ経緯を辿っていたりする。