国際政治パワーゲームの最前線にあるユネスコ

一体いつからユネスコが政治的中立と勘違いしていたレベル。



時事ドットコム:日本の制止実らず=中国申請の「南京」認定−ユネスコ記憶遺産
そういえば中国さんちが求めていた「南京」がユネスコ登録されたそうで。それ自体に関する議論はめんどくさくなるのでさて置くとして、まぁ今回のことは良くも悪くも日本に結構根強い「国連中立幻想」から脱却する一歩にでもなればいいんじゃないでしょうか。
最近になってようやくユネスコ正規加盟したパレスチナもそうでしたけど、台湾なんかは今も尚ユネスコからフツーに排除されているのを見れば、そこに政治的偏向があるのは何の不思議でもありませんよね。パレスチナ加盟でイスラエルアメリカがパワーゲームの一環としてあれだけ大騒動していたのに、今更ユネスコが中立だなんて。
パレスチナや台湾に聞いたら鼻で笑うんじゃないかな。



結局『連合国』におけるパワーゲームの一舞台でしかないんですよ。政治問題とは一見無関係なユネスコだって例外では絶対にないし、日本だって結構その当事者でもあるし。
むしろ国連組織としては政治的にクリティカルでない外縁組織だからこそ、前述したパレスチナ加盟騒動のように政治的戦いの端緒となることが多い。まさに前哨戦としての「外堀から埋める」という意味で、しばしば、ゲームの舞台となる。おそらく将来台湾の国連加盟が持ちあがるとしたら、やっぱりユネスコとかから始まるんじゃないかと。


中国の発言力が増す(転じて欧米の発言力が相対的に低下する)という事は、パワーバランスの変化としてこれから益々こうした事態が増えていくということでもあるわけで。ユネスコをはじめとする国連機関の中立性が叫ばれるのって、とどのつまり身も蓋もなく「自国にとっての都合の良い中立」という意味でしかないのだから。
菅官房長官:ユネスコ分担金、停止・削減を「検討」 - 毎日新聞
まぁその意味では「脅し」としてはそこそこ有効だと思います。ちょっと直接的過ぎてエレガントではありませんけど、まさに「日本に都合の良い結論を出さなかったから検討する」という意味ならば同意できます。
もしやるつもりならば、むしろ増額するくらいの事言ったうえで、別件で意趣返しするべきでしょう。人間社会において、分担金という名の予算の根幹を握ることはそれを支配するということに限りなく等しいわけだし。中国もそうしているように、モノを言うならカネを出すべきである以上減らすのは悪手だよなぁとは思います。気に食わないからこそ、よりコミットするべきなんですよ。それこそここで退いたら「わが代表堂々退場す」の二の舞じゃないですか。
この辺ソ連時代からロシアや前任者を追い出してその席に座った中国、あるいは北朝鮮なんかもよく解ってるんですけどねぇ。今回の南京の件で本邦でも反発する人が色々短絡的行動を叫んでおりますけども、そうした狡猾さは見習ってほしいものです。



どこまでいっても国連帰属なユネスコという組織が持つありのままの姿と、その限界について。まぁやっぱりいい機会ではあったんじゃないかな。むしろユネスコなんて徹頭徹尾その程度のモノだとはじめから解っていれば腹も立たないんじゃないかと。
がんばれユネスコ