トランプ「貴方のココロの不安お埋めします」

まぁその意味では、確かに米国民の核戦争への恐怖を和らげたSDIを進めたレーガンさんぽくもあるんですよね。


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そういえばトランプさんは最初のアイオワで負けちゃったそうで。でも僅差なので今後も、勝つか負けるかはともかくとして、盛り上がり続けるのでしょう。ぶっちゃけ予想外に民主党の方がサンダース旋風で盛り上がってて面白いっちゃ面白いんですけど。でも結局こうして予備選始まるまでトランプさんの勢いは持続したのはやっぱり面白い構図だとは思います。
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ドナルド・トランプはヒトラーと同じデマゴーグ【前編】 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
最近になってもまだまだいろいろ言われていて、政治不信・政治家不信という瓦礫の中から生まれたトランプ旋風 - maukitiの日記その要因の一つある非政治家性については以前書いたので、それ以外のトランプさん旋風について、改めての適当なお話。

 トランプは、国家の危機を訴えて有権者の不安を煽り、自らを国家を救うヒーローとして位置づける。敵を打ち破り、国境を守り、「米国を再び偉大な国にする」ことができる唯一の存在というわけだ。

 トランプには、そうした目標を「どのように」成し遂げるかという具体性はない。だがそれは問題にならない。巧みで自信に満ちた演説のほうがはるかに説得力があるからだ。彼は聴衆に「私を信じよ」と言う。自分は「極めて優秀だ」と約束し、予言の力があるかのように振る舞う(例:「私は9.11の攻撃を予見していた」)。

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うーん、まぁ、そうね。ただまぁ個人的には因果が逆かなぁと。概ねこの評論ではトランプさんを不安を煽る「攻撃者」と位置付けていますけども、むしろ彼が目指しているポジションって既存の束縛に囚われない「防衛者」あるいは「救済者」という方が近いんじゃないかと思うんですよね。
もちろん多少彼が煽った面はあるにしても、しかしその米国民の不安は元々あったものじゃないのかと。経済的には言うまでもないし、テロの恐怖という意味でも『9・11』以来の危険性があるし、そして白人たちにとっては社会的・政治的な意味でも彼らはマイノリティ陥落という恐怖が根強い。あるはずない不安を煽っているというよりは、彼がやっているのはむしろ便乗している方じゃないかと。


この政治的・経済的・地政学的に混沌とした世界において、彼は解りやすい言葉・態度・自信で「アメリカという国家ひいてはアメリカ国民を守ってみせる」と傲岸不遜にも確信している。
ただ敵を攻撃したい、というよりは、敵からアメリカを守りたい。


もちろんそれは『イスラム過激派』という含意がある以上PC的には紙一重で、だからこそ下手に口をすれば誤解を招きやすく、直接に言葉にするのって「まともな」政治家ならばその危険性を考えれば立ち竦む所ではあるんですよ。それを言おうとするならば、メッセージの解りやすさを代償にひたすらエクスキューズを前後に散りばめるしかない。
しかしトランプさんはそうした危険性をモノともせずにぶちまけた。
解りやすいと言えば確かにその通りですよね。


それこそ「アメリカ国境管理を厳重に!」って別にトランプさんだけの持ちネタというわけではまったくないわけですよ。いやむしろ大統領選挙においてはお馴染みの恒例のネタですらあります。
1996年なんかもそうでしたけど、特に経済的不安は反移民感情に結びつきやすく、一部政治家にとっては国境管理を言うことがそのまま反移民感情に応えることになる。パトロール強化や壁の増設等等、それは直接の物理的障壁というよりは、国境を正しく管理することで貴方たちの生活を守る、という心理的な障壁建設の為に。


ということで、不安に応えるトランプさん、というのが基本的な構図かなぁと個人的には思っています。ただトランプさんが生まれてまず不安を煽ったと言うよりは、むしろ経済的・社会的な大衆的不安があってこそ、トランプさんのような狡猾なセールスマンが登場したんじゃないのかと。


みなさんはいかがお考えでしょうか?