彼女は沖縄のガンジーか、あるいはドン・キホーテか

誰が為に演劇者は踊る。


<機動隊 差別発言を問う>沖縄からアジェンダを 安冨歩さん(東大東洋文化研究所教授) - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース
沖縄で、いかに相手に暴力を使わせるかと宣う東大教授 - Togetter
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うーん、まぁ、そうね。とっても愉快なことを仰っているなぁとは僕も思います。「言葉で挑発して暴力を引き出す」という点が燃えまくっていますけども、それ以外にも面白いのはあって、次の二つなんかも負けず劣らず面白発言じゃないかと。

今回、この線から近づくなと言う警察に対し、抗議する人々が金網を利用して挑発し、日本警察の本質を露呈させた。「土人」発言という暴力を振るったことで、警察は窮地に立たされている。

<機動隊 差別発言を問う>沖縄からアジェンダを 安冨歩さん(東大東洋文化研究所教授) - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース

「お前が言うならそうなんだろう〜」論ではありますが、彼女のような人たちのポジションがとってもよく表れている発言だなぁと。黒人差別で大炎上したファーガソンのような場所では受け入れられるかもしれませんけど、概ね警察への好感度は高目(いやまぁ全国でも悪名高き神奈川県警のお膝元でこれを言うのもアレですけど)な日本でそれを言っても大多数の人びとの共感なんて得られないんじゃないかっていう余計な心配をしてしまうくらい。

もちろん、それが一般化し「沖縄人は土人だ」という空気が広がる可能性もある。その場合、沖縄は独立せざるを得ない。そのときは世界中がそれを容認し、日本は威信を喪失するだろう。だからこそ、ここが闘いどころだ。

<機動隊 差別発言を問う>沖縄からアジェンダを 安冨歩さん(東大東洋文化研究所教授) - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース

一方で「警察にはそうした差別感はあるけど、現状みんなは違う」って言っているのが面白いし、更にはそれが広がってしまう可能性に言及しながらもそれ自体は看過している辺り『差別』を無くすことは二の次、っていう彼女のような人たちのポジションがとっても良く表れているのが――ぶっちゃければ馬脚出してる感じでとっても興味深いよね。





ともあれ炎上している本題「言葉で挑発して暴力を引き出す」に戻ると、そんな『弱者の戦略』としてのテロリズム研究の第一人者であったブルース・ホフマンさんなんかが詳しいですけども、重要なのはその演劇性であるわけですよ。
――その行為は、見ている観衆の為である。
――劇場性が高ければ高いほど、多くの観衆を巻き込むことができる。
螺旋人先生が言っているガンジーの戦略ってこの部分で優れていたわけですよ。もちろん彼女の言うやり方がテロであると断ずるつもりはありませんが、しかし、本質的には目指している所はそれと一緒でしょう。なんらかの政治的目的を達成したい。まさに彼女自身がこうして表明しているように。
そしてその為に重要なのが、傍観者たちを自発的に巻き込むだけだけの「劇場性」であるわけで。そうすれば傍観者たちから新たな賛同者を集めることができるから。その行為によって衆目を集めるのはもちろんではあるものの、その上で引き込み仲間にする必要がある。
でも今回のって後者について致命的に配慮が欠けているよね。問題なのはそれが(正しい意味での)確信犯なのかどうかが問題かなぁと。
ただただ衆目を集めたいだけならば、いっそ鼻からカルボナーラでも食べながらストリーキングでもすればいいんだしね。でもそれじゃほとんどの場合(例えば獣皮製衣類に反対する場合を除いて)「狂人」としか見られないわけで。だってそんな奇行じゃ人びとを賛同者に変えるだけの意味を内包することができないから。


おそらく彼女は真摯に演劇を舞い、その上で私たち観客たちを魅了していると考えているのでしょう。以前琉球新報についてコメントで頂いたことがありましたけど、こうした言説を公に載せている新聞が実際にこうしてある辺りまったく通用していないとも言えない。
でも悲しいかな、少なくとも当事者でない多くの人たちからはこうして「狂人」としか見られていない悲喜劇について。なんかドン・キホーテみたいだよね。


彼女は沖縄のガンジーか、それともドン・キホーテか。
まぁこの議論って以前もネタにした「テロリストか自由の闘士か」と同じですごい難しくて微妙な議論になってしまうんですけど。だからこそ私たちは現代人の知恵として相対主義へ逃げ込むのだ。


ということで、みなさんはいかがお考えでしょうか?
――ていうかむしろ実際の当事者である沖縄の人たちはいかがお考えなのかが重要だよねぇ。