「歴史に学ぶ」勤勉な中国の再挑戦

今度こそ(絶対権力の)BADENDから救ってみせる。ループものの主人公かな?


中国、習主席の任期制限を撤廃へ 2023年以降も - BBCニュース
ということで中国で皇帝宣言が出ちゃったそうで。俺より偉くなってはいけない。出来る範囲で構わないから。

中国共産党中央委員会は25日、国家主席の任期を「2期10年まで」とする憲法の条文を削除する改正案を、国営新華社通信を通じて発表した。この改正によって、習近平氏は任期が切れる2023年以降も、国家主席の座にとどまることができるようになる。

中国、習主席の任期制限を撤廃へ 2023年以降も - BBCニュース

いやぁ一応はメドさんを中継ぎにして体裁は取り繕っていたプーチンさんより先に、あからさまに任期撤廃を求めちゃうとは。尚も一応「民主主義」という建前も外していないロシアよりもずっと先に進んでいるよね。
東京新聞:中国主席の任期 なぜ歴史に学ばぬのか:社説・コラム(TOKYO Web)
もちろん「歴史に学べ」という平凡なド正論を言うことはできるものの、一方で独裁政権の維持運営について、おそらく現代世界において今の中国という国家以上に真摯に取り組んでいるプレイヤーはいないでしょう。世界で最も先人たちの失敗に学びその先例を避けようとしてきた。多くの識者たちが指摘しているように、改革開放以後の中国は特に旧ソ連の二の舞を避けることこそ至上命題であり、それは概ね成功してきた。あまりにも当事者過ぎる故に希望的観測も多い日本での議論はともかくとして、少なくとも現状の経済面では世界でも最も安泰に見える中国経済でもあります。そしてその強権をして失敗回避のための実践(民主化圧力の回避、国民感情の制御)すら根本的な対応さえ誤らなければ実現できる。
だから逆説的に、中国が学んでいないからこうなっているのではなくて、むしろ「中国こそが最も歴史に学んでいる」故に習さんはある程度の見通しの下に今回のような任期撤廃をしようとしている、のかもしれない。


実際、最初に書いたようなプーチンさんへの批判の少なさ――欧米世界にすら強権への素朴な憧憬としての親プーチンな見方は少なくない――はこうした中国の決断を後押しした面は少なからずあると思うんですよね。世界第二位となった経済面だけでなく、インターネット規制の成功やあるいは香港で見事に骨抜きに成功した一国二制度とか。結局その香港への政治弾圧は、(私たち日本を含め)外国の声は小さく簡単に無視できるという実例を示している。
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更に好材料といえるのは、彼らの絶対権力への挑戦は、そんな彼らの権力基盤の維持を手伝ってくれる善き同盟者たちの力を借りることで、上手くいくかもしれない。現代先進技術の助けを借りることで、少なくとも当面は維持できるのは間違いない。ディストピア的な管理世界に一番近いのが中国だともずっと言われてきたように。
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中国国内に批判の声もあるものの、技術進歩が可能にしたこれまでにないほどの『言論の自由』なネット社会は、同時にまた人類史でもっとも構成員たちへの監視能力が進歩した現代社会でもある。手間暇のかかる個人の行動監視だけでなく、よりメタなビッグデータを追うことによる思想判別すら可能性は見えてきている*1


はたして中国の習さんは、歴代権力者が夢見ては無残に失敗していった絶対権力と強い国家の両立に、今度こそ成功することができるのか。その絶対的な成功率は別としても、相対的に見ればおそらく現代世界で最も有望な挑戦者として。


「歴史に学び」今度こそ成功してみせようとする現代中国について。
みなさんはいかがお考えでしょうか?

*1:こちらも先駆者はアメリカでもある。