人に不平等を見せ続けると(政権が)死ぬ

It's the economy, stupid!!


人は不平等を目撃すると暴力事件を起こしやすくなる、しかも富裕層サイドの方がその傾向が強い - GIGAZINE
これは面白いお話。

このことからデセル教授は、不平等が可視化されると人は自身が「持つもの」か「持たざるもの」かに関わらず暴力事件を起こしやすくなると指摘。さらに、「富裕層は怒りを表出しやすくなり、一方で貧困層は自制心を失いがちだという先行研究を支持する結果になりました」と分析しています。

人は不平等を目撃すると暴力事件を起こしやすくなる、しかも富裕層サイドの方がその傾向が強い - GIGAZINE

金持ちの側でもより怒りが爆発しやすくなるというのは新しい知見かなあ。
いやそれも「増長し横暴になる」というとやっぱりこちらも誰もが知ってた案件か。


かくして不平等は両者の軋轢を高める。
まぁ基本的には「人を鉄アレイで殴り続けると死ぬ」位にはみんな薄々知っていたお話ではありますよね。それを裏付ける研究に意味がないわけではもちろんありませんが。
貧富格差が拡大し過ぎると社会不安が進み、それが最後に行き着くのは革命である。。
――すーぐそれを忘れてしまうのが私たち人間の歴史、というかバカな為政者たちの歴史でもあるわけですけど。



この人類普遍の教訓が直近にものすごくよく出たのがあの『アラブの春』でもあったわけで。
チュニジアにしろエジプトにしろ、地中海や紅海沿岸辺りは国外富裕層たちのビーチリゾートのメッカでもあるんですよね。そして、だからこそ、大多数が抑圧される独裁政権下においてはその貧富格差という光と影は一層際立つことになる。政権の腐敗によってそれが導かれているとなれば尚更。
(多くが欧州やってくる)金持ちたちが沿岸部のリゾートを謳歌する同じ国で、生活の為に青果売りをやっている若者が自殺を考えるほど官憲からいびられる地獄絵図。
いやあ『国境の差』ってすばらいいよね。そりゃ革命もおきちゃうわ。
後知恵でアレコレ言うのは簡単だけれども、そもそも未来についての予測は政治・人口動態・経済・社会動向に左右されるので簡単ではない。しかし決定的に重要な変数が「不平等格差」であることも間違いない。
そして彼らのアラブの独裁政権の多くは、まさに独裁政権という名前らしくそれに失敗していた。


こうした経済状況を背景にした革命前夜な光景は今でも世界のあちらこちらで進行中であります。ベネズエラでも南アフリカでも、そして我らが民主主義先進国仲間であるはずのフランスでも。
逆説的に、こうした構図を逆手に取り敢えて特権層の一部をいびってみせることが現代政治において支持獲得のさえたやり方の一つであるということも言えるんですよね。
お金持ちリベラルを嗤うポピュリズム的トランプ手法はやっぱり正しかったんだなって。


本邦でも池袋の暴走事故で「上級国民だから逮捕されない!!」という愉快な言説が未だにあったりしますけども――個人的には弁護士の皆様が解説しているようにありえないとは思っています――まぁそこにある背景と文脈とはこういう社会の空気なのだと思います。
だからちょっとアレなことを言うのもしかたないよね。だってぼくたちは不平等を見せられて感情的になってるんだもん!
フランスに見習え論な人たちも納得の、グローバルスタンダードにそった不平等ある日本社会になってきてよろしいんじゃないでしょうか。
逆説的に本当に安倍さんが政権維持に汲々とする権力者であるならば、むしろそうした『上級国民』をイジメた方が政権維持により繋がると考えてもおかしくないよね。
もしふたたび自民政権が再び倒れることになるとすれば、やっぱりこういう空気こそがそれをやるんじゃないかなあ。


ちなみに、この「不平等による人民の怒り」対策でも、文字通り最前線を行くのが中国であります。
世界第二位までたどり着いた急激な経済成長の代償として必然的に生まれた世界でもトップクラスの格差による社会不安に彼らはどう対応していくのか。インターネット規制と同様に、それらが上手くいくのならば誰もがその中国的手法に右へ倣えすることになる。警察国家、個人信頼度調査、表現規制、マスコミ規制、SNS規制、etcetc……。
少なくともこれまでは、そして今後しばらくも私たち先進諸国は資本主義がもたらした不平等にあまり上手く対応できそうにない。
平和で安定した社会のゆくえは中国にかかっている。
がんばれ中国。






まぁそれってつまり、不平等が生む社会不安を政治的強権を使ってどれだけ抑え込めるか、というお話でしかないんですけど。
あるいはどれだけそれを上手く隠蔽できるかということでしか。
でもしかたないよね。だって私たちには不平等を無くすことも、あるいは上手く目を逸らすことができなかったんだもん。いやまあまったく無かったわけでもないんですけど。しかしまたそれをやってしまうわけにもいかない。
もしかして 戦争


みなさんはいかがお考えでしょうか?