そう、「お前は非白人を人種差別しているレイシストだ!」と罵ればね。

腐敗や不正を回避するためのさえたやりかた。



WHOテドロス氏、「中国寄り」で渦中の人に 「遺体袋」で反撃も 写真8枚 国際ニュース:AFPBB News
ということでおそらく現時点では世界の敵への投票数ナンバーワンかもしれない、「渦中の人」テドロスさんは今日も平常運転であります。

 テドロス氏は8日にバーチャル記者会見を開き、数か月前から人種差別発言や殺害予告を含む誹謗(ひぼう)中傷の標的とされてきたことを明らかにし、「気にしていない……私は黒人であることに誇りを持っている」と述べ、こうした誹謗中傷の多くが台湾発だと主張した。

 WHOをはじめとする国際機関は、中国からの強い要請を受けて台湾を排除しており、WHOは2016年以来、オブザーバー参加さえ認めていない。

 台湾もトランプ氏と同じくWHOとテドロス氏を批判。中国共産党政府を信頼したり、昨年末に流行が始まってからの中国の新型ウイルス対応を称賛したりしたくてたまらないのだろうと主張している。

WHOテドロス氏、「中国寄り」で渦中の人に 「遺体袋」で反撃も 写真8枚 国際ニュース:AFPBB News

うーん、まぁ、そうねえ。
よりによって「何でそこで台湾の名前が出てくるの?」という疑問が生まれてしまうし、そこから邪推すると、やっぱり後ろめたさというか台湾を除け者にしている自らの態度を投影してしまっているんだろうなあとシロート心理学者な気持ちにはちょっとなってしまいます。



でも彼のこの批判の声が大きくなって以来続けている、この「人種差別された!」ムーヴってまぁ確かに効果的だとは思うんですよね。
――まぁそうしたやり方って反撃ってまさに中国政府がやっていた事でもあるんですけど。
実際、相手をレイシストだとレッテルを貼る行為って、皮肉にもリベラルな社会であればあるほど効果的でもあるわけですよ。
それはユダヤ人に限らず、アフリカ系な黒人相手でも同様だし、イスラム教徒に「見える」中東なアジア人たちも同様に。


単純に白人国家たちこそが国際関係のメインプレイヤーであった時代とは違い、これから中国を筆頭に益々多様になっていくグローバルな世界。
もちろんそれ自体は言祝ぐべき素晴らしい世界なのでしょう。
しかしそうした世界というのは――別にテドロスさんがそうしているとは言いませんけど(否定もしませんけど)――真っ当な批判をかわすために「人種差別発言をされた!」と言い出す人たちがこれまで以上に増えていくだろうと予想できる世界でもある。
そう、「お前は反ユダヤ主義だ!」と罵ればね。 - maukitiの日記
実際、「反ユダヤ主義だ!」というレッテルが大きな影響力を持っていたのがそうした欧米社会でもあったし、あるいはヨーロッパの多文化主義社会の下にあるイスラム社会でもある。



おそらく、人権意識が高い人ほど「見て見ぬフリ」をする傾向・構図があることは間違いない。
さて、ならば私たちは、国際関係の現場でそれを見たとき一体どういう態度を採るべきなのだろうか?


どちらにしてもこうした(旧白人世界=)国際社会に向けた「人種差別だ!」発言というのは、今後はより一層『中国』が主役になっていくのでしょう。
少なくとも戦後世界においては、非白人ではなかった私たち日本人があまり使ってこなかった人種差別カードが、より乱用されていくだろう現代世界について。
リベラルな私たちはもちろん本当にそれがあった場合にはきちんと是正しようとすることができる一方で、
おそらくそれ以上に難しいだろう悪用や乱用に毅然と反対することはできるだろうか?


(人種差別という)歴史の終わり? - maukitiの日記
はたしてこの「言説」は一体世界における人種差別問題にどのような影響をもたらしていくのでしょうね。

  • こうやって国際関係の場でも非白人な人たちがはっきりと「人種差別だ!(もちろんそこには虚偽の使用も含まれる)」と声を上げることでより差別の少ない世界に、ポジティブな影響を与えるのだろうか?
  • それともこうした非白人たちの「人種差別だ!」という反撃は、更なる反感を生み、人種差別の歴史は逆回転していくのだろうか?

ミクロな社会生活であったそれが、こうして堂々と世界レベルの危機でも似たような光景が見られてしまうというのは、やっぱり『痛快』だよねえ。
みなさんはいかがお考えでしょうか?